ちろる

或る夜の電車のちろるのレビュー・感想・評価

或る夜の電車(2014年製作の映画)
3.5
舞台は大晦日の渋谷の街。
渋谷の円山町で風俗嬢を待つドライバーと、今日で風俗嬢を終える女。
若手芸人の彼氏に適当にあしらわれて大晦日ひとりぼっちの若い女。
日雇いバイトで知り合った冴えない男2人は当てもなく大晦日の空気を味わっている。
1番長く住んでたのが渋谷区だったので引っ越す先月まで気が付かなかったけど、こういて客観的に渋谷を観るとまたこのエリアの不思議な魅力が垣間見れる生々しい作品。
もう、随分と昔から誰もものでもない東京。
でも、誰でも受け入れてくれる東京。
スクランブル交差点に立って周りを見渡せば半数以上が地方出身者で成り立っていて、誰もが周りを気にしない。
思いやりもない代わりに、人の目も気にならない。
そんな街。
でもこの街で少しでも心が通じ合ったのなら、少しだけ明日や人に希望を持てるのかも。
ここに出てくる登場人物は底辺を這いつくばっていると言えるのかもしれないが、それらを悲惨に描くわけでもなく、むしろ愛おしく魅力的な視点で見つめている。
言うなれば、この映画の視点自体が渋谷の包容力のようなもの。
今年の大晦日にこんな風になるのか分からないけれど、こんな風なドラマが生まれる渋谷、いつまでもそのままで。
ちろる

ちろる