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或る夜の電車のZaieDansLeMetroのレビュー・感想・評価

或る夜の電車(2014年製作の映画)
4.0
大晦日の渋谷を舞台にした男女6人の群像劇。『或る夜の電車』
渋谷という街は重なり合いぶつかり合いあんなに人が多いのに、生き物の個々の匂いが咽せるほど明確に感じ取れてなお、その一つ一つの粒子が混ざり合って一つになって宇宙みたいな街だ。
そんな空間においては非日常的なことが起こってしまうことがあるかもしれない。
6人の群像劇の間に起こる非日常的な出来事が印象的な映画でした。
渋谷という名の宇宙は、日常を粛々と生きている一人一人の人生が作り出している。
映画では12月31日新年を迎える前の数時間が描かれているのだけど、登場人物の6人が背負ってきたその一年や人生が何故だか痛いほどに伝わってくるんです。
大晦日、人々の熱狂が渦巻く渋谷の巨大なプラズマボールの中にいても、カップルも酔っ払った人も喧嘩している人も、仲の良さそうな女の子グループも、警察も通り掛かりの人も一人一人が抱えることの重さや人生はなくなったりはしない。
登場人物の6人の人生を垣間見て、渋谷の雑踏が映し出されると、そこに映る全ての一人一人の人生に思いを馳せてしまう映画でした。
そして渋谷の大晦日の雑踏がこんなにも胸を苦しくさせるなんて…
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