トンボのメガネ

君の名は。のトンボのメガネのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
3.0
長編musicPVのように感じた。

新海誠の作品の多くに感じることなんだけど、音楽単体でも充分に魂に響く楽曲にのせてフワッとなぞって描いている印象。

その手法で描かれている作品は、いつも切なさと言うよりは少しジメッとしている。
本作は、そのジメッと感に電気熱を当ててカラッと仕上げてあり、幾分か見やすくなっていた。

極端に音楽に依存したシナリオは、口に入れた瞬間は甘くて美味しく感じるが、コンビニに置いてあるスイーツのようにどことなく味気ない。

本作前までの作品には、同じ手法を使いながらも『不味い』と言うオリジナリティがあった。 私は好きではなかったが、その不味さがたまらないファンもいたことだろう。

しかし、一度コンビニのスイーツ作りに手を出してしまったら、もう不味いスイーツを作ることは出来ない。

クリエイターが物を作る上で葛藤することの大切さを噛み締めた作品でもあった。
それは、受け皿が巨大になればなるほど、重い十字架としてのし掛かる。

大衆の批判を跳ね除けても葛藤し続けるクリエイターに心からの拍手を贈りたい。