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君の名は。のTSのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
4.8
【今年ベスト級の作品!】98点
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監督:新海誠
製作国:日本
ジャンル:ドラマ
収録時間:107分
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神作。『サウルの息子』、『ザ・ウォーク』と並ぶ今年度公開映画ベスト級と感じました。のみならず邦画アニメでは最高の部類に入るかもしれません!非の打ち所がない映画とはこのことを指すのでしょうね!映像、音楽、物語全てにおいてパーフェクトレベル!!新海誠監督という一人の男の偉大さを垣間見た映画でした!

田舎の糸守町に住む宮水三葉。そして東京の都会に住む立花瀧。ある日目覚めると、自分ではない体つき、顔になっていた。夢と思い過ごした一日だったが、徐々に不定期にお互いが入れ替わる現実と理解してきて。。

当初、全く見るつもりはなかったのですがあまりの評判の良さに映画館での鑑賞を決意。結果、映画館で見て本当に良かったと思えました。繊細なタッチで有名な新海誠監督ですが、彼の作品を今まで見たことがありませんでした。なので先日、『言の葉の庭』を鑑賞したのですが、あまりの緻密な描写に仰天したところでした。

あの素晴らしい描写を映画館で見れるのかと思い期待して見に行きましたが申し分ない出来栄えでした。まず最初のオープニングで胸が高鳴りました。往年のファンでもないのに何故でしょうか?(笑)最初から期待は膨らむばかりです。風景画にとくにこだわる新海誠監督ですが、今回はキーポイントになる彗星をはじめとして息を飲む美しさでそれらを描きます。夜空、彗星、雲海、これらは実写にも勝るとも劣らないクオリティでありました。

音楽に関してもRADWIMPSの主題歌も4曲ほど挿入されていて聴き心地が良い。それ以外のBGMも非常に奥深いものでありました。絵と音で心地よくさせてくれる稀に見る作品であります。

そして肝心な内容ですがこれも抜群の出来。コメディ、ミステリアス、シリアス、感動の全てを巧く組み合わせたものであり、まるで穴のない横綱の様。特に終盤の糸守町のシークエンスは素晴らしい。しかし、世間ではあれほど美しく見えるものが、見る人によって変容するというのが恐ろしい。この世のものを美しいかどうかを判断するのは紙一重と感じました。

最初はコメディ風味にストーリーが展開していきます。そりゃあ入れ替わったらいろんなことを試したくなるでしょう。入れ替わってからの、周りの人とどう会話するのかというのも面白いところ。また、瀧のバイト先の先輩も魅力ある存在でありました。忘れないようにメモをしたりする様は、『メメント』を少し彷彿させられました。日常世界の中にこのようなミステリアスな現象が起きるので初っ端から観客はこの世界観に入り込んでしまいます。

しかし、 話が進むにつれて実はかなりシリアスなものだということがわかります。異世界とまでは言いませんが、このパラレルワールドを駆使した描写に人々は想像力を掻き立てられます。それらの中で徐々に芽生えてくる想い。最初から最後まで飽きさせることはないでしょう。

最大のネタバレは避けたいですが、この終盤の糸守町の運命に大変感銘を受けました。先ほども言及しましたが、のほほんと人々が見ていた「それ」は「凶器」にもなるのです。これは冗談ではなく、現実世界にも起こりうるのだということ。そして、あの夏の突如の出来事は、どうしても71年前のアレを思い出さずにはいられませんでした。

映像だけでも十分楽しめますが、子どもに好かれるようなマスコットキャラクターは出てきませんしやや複雑なので、高校生あたりか大人向きのアニメーションといって良いでしょう。今作をみて、新海誠監督の過去作に更に興味が湧きました。往年のファンならばもっと感動したのでしょうが、新参者の僕でもこの評価です。

作品自体も夏の風物詩で包まれています。今夏見るべき最高クラスの映画であり、見に行けば少なくとも満足できるということを断言したいと思います。日本のアニメの誇りですね。

新海誠監督の集大成として名高い今作なので、往年のファンの方に是非ご感想を聞いてみたいです(^○^)
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