花波

君の名は。の花波のレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
5.0

「ただひたすらに、美しい眺めだった」。
鑑賞中、何度もその言葉を反芻するような。エンドロールで泣きながら、わたしはこの日の為に生きてきたんだと、はっきりとそう思った。


『ほしのこえ』『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』。
新海監督の過去作すべてが確かにこの作品の中で″結ばれて″いて、それでいていつもよりも大衆向けに作られているので、物語を追いやすく、すんなりと心に響く。集大成、というか。本当に全てを注ぎ込んだのだな。

確かに出逢っているのに、出会えない。中身が入れ替わるなんて、何千回と使われてきたありがちなネタなのに、それをここまで切なく描く。すれ違い続ける。それでも、何度でも追い求める。恋が始まる前、わたしたちはいつもこんな気持ちを抱えている。ながいながい時の中で、たったひとつと出逢うことの奇跡を、新海監督の作品はいつも思い出させてくれる。


心の中を脈打つ余韻が、寝ても覚めても消えない。美しいものを見たときのあの感動が、ずっと残ってる。この作品に出逢えてよかった。
花波

花波