喜連川風連

君の名は。の喜連川風連のレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
3.5
絵画のような画面が動くことにひとえに感動しました。もはや一つの工芸作品といっても過言ではないと思います。

大衆向けのメッセージとしては
男女入れ替わり物
批評家向けのメッセージとしては
3.11のオマージュなど
監督個人の想いに「つながり」があり、改めて重層のような作品でした。

一度目は意識できなかった新海作品の持つ「つながり」を意識して今回は見ました。

鉄道、組紐、歩道橋・・・印象的に散りばめられたモチーフの数々は人と人との「つながり」を象徴的に表しています。

他の人のレビューにあった通り、過去作品で度々語られてきたつながりたいのにつながらない、その橋渡しになるモチーフたちです。

話の筋は、男女が入れ替わり、運命を変えるという単純なものですが、先進国で一番寂しいと感じる人の割合が高いこの日本で、「つながり」を描くということに、非常に高い意味があるのだろうと思います。

SNSで、色々な人と、繋がっているはずなのに心の奥底では、一抹の寂しさを感じる。

人と人との生身の接触が失われ、心が錆び付くよな感覚を覚える。
そんな心の奥底に巣食う病巣を、ゆっくりと、じんわりと癒してくれる。

ちょうどそのタイミングで流れる歌詞
「嬉しくて泣くのは 悲しくて泣くのは
君の心が 君を追い越したんだよ」

人に気を使いすぎながら、空気を読みながら、窮屈な毎日を送る現代っ子たちに捧げる壮大なカタルシス
「君の名は。」
喜連川風連

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