ピッツア橋本

君の名は。のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
3.5
世の流れに乗って鑑賞してみる(笑)

あらすじや見所は散々他のソースで出尽くしているので割愛する。

自分の率直な感想は「光、音、テンポがバッチリ三拍子揃った映像群」
田舎と都会の美しさをアニメで出来る限り美しく再現し、ずっと安定して終わる。
自分も田舎から東京に移住した人間なのでその過程は素直に共感できた。

本来ならそれだけで充分オーケー。ただ、捻くれた映画が好きな僕では心の底からは感動できなかった。


本作は例えるならずっと清き水が流れる河の表面を眺めているような感覚。

音の入り方とか光の加減が実に気持ちいい。水面に反射する景色全てが美しい。
音や雰囲気もコミコミでぼーっと気持ち良く観ていられる。

それは間違いないんだけど“映画”って考えた時にもっとその川の底にある淀みや濁りを感じたかった。

いろいろ事件や展開はおきるんだけど、悪役がいないから抑揚が見えないし、もっと不条理や愛憎の断片が見え隠れしても良かったのではないか?
あったかも知れないけど肝心で複雑な感情の機微を紐解く瞬間に、2人の入れ代わりが始まってうやむやにされた感じ。

その夢とうつつの境界線を行ったり来たりするせつなさが本作の肝なのはわかる!

わかるけど言わせてくれ、そういうトコが結構煩わしかったです!!
(偉そうにごめんなさい)


アニメだから心地良い映像が正解なのかも知れないけれど、本当はお父さんの最後の心変わりの理由や決め手とか、ほぼ犯罪行為に加担させられた友人二人が受けるべき罰や末路を丁寧に描くのが映画なんじゃないかなっていうのが中年の私の意見。

捻くれて考え過ぎなのはわかってはいるけれど、
何か本作は作者は実は人間がどんなに汚いか知ってるくせそこを触れているようで全く見せないスーパーイリュージョンをやられた気分。

2人の「あれ、何で泣いてるんだろう?」に対し「知らねえよ、観てるこっちのセリフだよ!」
と独りつっ込んでしまった無法者の私でございます。
日本全国の本作のファンの方々ごめんなさい。
あんまりこのレビューは参考にしないで下さい。
ピッツア橋本

ピッツア橋本