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君の名は。の綯綯のレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
3.8








『おかしいなぁ。元気やけどなぁ。』















ハイビジョンの快楽を享受できるアニメ作品。超現実シーンも考慮すれば、アニメが実写では到達できない境地に至ったことがわかる作品。キラッキラすかーっとするって意味。

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2020/6/8
二度目まして。
君の名は、VOD解禁。
初めて見たときの感動は、記憶を消してもう一度味わいたいな。
またたく光と線を引くような音、ちりに汚れまでが美しく描かれてる。

『おかしいなぁ。元気やけどなぁ。』
三葉ちゃん初入れ替わり場面。一番かわいいモネ。
てっしーがオカルト披露して突っ込まれる場面、
たぶん唯一アニメ的な驚き描写が加えられているΣ('-'; )//
これが際立つのは、『君の名は。』がアニメを用いたドラマであって、(例えば漫画原作が存在する)アニメを用いた漫画とはちょっと違った出自を持つからだろう。

『...入れ替わってる!?』
前々前世MV。
お互いの存在を認知してからのジャパンラブコメパートは最高。
超常体験ものの導入にありがちなこっちが恥ずかしくなる現象がないのが特徴。

『先輩、脱いでくださいっ!』
長澤まさみはモテキの頃から最強&最高。
瀧くんが糸森の絵に打ち込んでるシーンはすごく好きだ。
フラグ切り替わってからの奥寺先輩、(自称するようになる年齢の)おばさんっぽくてすごくいい。

糸森の災害現場に訪れる場面、心がぎゅっとなる。
この時代にしか描けない。
認識した瞬間に、三葉のメモは消えていく。
『夢は目覚めればいつか消える。』

口噛酒飲酒後の回想、オルガンが同じ帯域で鳴り続けてて、風邪をひいてるときみたいに循環的。
回想はだんだんと瀧くんによる天の声に移り変わっていく。

『やろうぜ!俺たちで!』
てっしーを中心に、これまでの伏線が繋がっていく。
てっしー貴重な存在だな。てっしー。

彗星が落ちる場面、あの金属音はレールが切り替わる音なのか?
組紐、へその緒、電車。繋がると言うこと。
「絆」と言われたあの日々に、新海誠は何を投げかけたのか。

東京にきた三葉、乙女感すごく出てる。
逃げ恥のNPC化現象に近い、第三者的な役を演じる場面。
瀧くん、普通に超絶優秀イケメンだよな。

彼我時の場面、ずっと続いてくれればいいのに。
誰もが思った瞬間、ペンが落ちる。
さすが〜〜〜〜〜鬱アニメの新海〜〜〜!!!!!

たくさんの魚肉ソーセージで変電所を爆破するてっしー。
ヒロインからヒール、避難放送までできる悠木碧、フレキシブルだなぁ。
彗星が凶事をもたらす、ハレー彗星のオカルトになぞらえたプロット。

彗星落下シーン、電気がビリビリってならないの、先に変電所爆破しといてよかったね。二次災害が防げたよ、てっしー。

『今はもうない街の風景に、なぜこれほど心を締め付けられるのだろう。』
5年後。
西新宿の風景。
中央・総武線が選ばれるのは、東京の往来が解け・結ばれる場所だからだろうか。

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ラストの出会いまで、すっごく余白が多い場面。中編のドラマを見終えた後、顛末を知っているとちょっと手持ち無沙汰になりがち。

評価は変わらず3.8。
初見の感動以降に驚きがなかったわけでも、大衆作品に眉をひそめたいわけでもない。
『君の名は。』は数年に一度何度か見て、あのときの風景をよみがえらせるのにふさわしい作品だ。
同時に読後感として、心が洗われるかというと少し異なる着地点にいる。
作中の澄み切った空や水の景色とは異なり、この作品には紛れもない色が反映されている。
「離れていても、もう無くなってしまったものだって、絆は繋がっている」

しぶとくたおやかな鬱が迫りくる秒速5センチメートル以来の新海作品。
魂で登り詰めたクリエイターが、魂を売ることでなし得た偉業だと思う。
あえて一面的に、このための積み重ねだったと言うのもいいだろう。
それはレールを切り替えた先にこそあった風景なのかもしれない。
すでに寵児ともてはやされた先に、何かのきっかけを経てーーこの場合は「絆」の日々だろうかーー新海は新たな風景を描き始めた。

てっしー、いい奴。
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