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君の名は。のレクのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
3.5
恋愛における障害、それらに男女の在り方、感情の変化や想いを乗せて描いてきた過去作の答えを出した"新海誠の集大成"と言えば納得する出来だ。
過去の記憶や体験が現在の心情に影響を及ぼし、新たな未来を切り開いていく。
人を繋いでいくこと、時間が流れること。
それらを結びとし、互いの想いを形作る。

時空や生死の境界線をも超越するその"想い"は"結ばれる"といった新海誠が啓示した希望に溢れるテーマは輝かしく冴え、丁寧に繊細に作り込まれた美しい作画とテンポの良さは"世界観"への惹き込みとして素晴らしい。
一方で、プロットの問題と説得力の無さが"没入感"を妨げる。
自分の中でその賛否の乖離が心を二分化し、煩雑である。

大ヒットというバイアスを除いても、一見、万人受けを狙ったような楽曲と宣伝、予告ではあったが内容は安易な大衆向けではない。
勿論「君の名は。」単作でも楽しめる仕様にはなっているのだが、寧ろ過去作を観ている一部の層へのサービス精神、ファンサービスが満載であり、新海誠のアンサームービーという点においても過去作を観ていることでこの物語に深みが増す。
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