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君の名は。のよーだ育休中のレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
5.0
ノスタルジックで写実的な背景デザインと、野田洋次郎(RADWIMPS)の手掛ける音楽がとても魅力的。大学生の頃、毎日足を運んでいた新宿の景色がスクリーンに広がり圧倒された。
EddieBauerのロゴがウサギになってたり、オロナミン「D」だったり、間違い探しのようで面白いカットもちらほら。備品や掲示物の多さ等、ワンカットの拘りも強く感じる。
タイムラプスやスライドドア。美術館で「飛騨」にかかる間接照明が「山」の字様であったりする演出も印象的。

主人公の瀧くんとヒロインの三葉が入れ替わる。よく聞く男女の入れ替わりドタバタラブコメと一線を画しているのが、糸守町と新宿区という二次元的な距離だけではなく、三年という四次元的な時間を越えて入れ替わる点。
割れた(メソポタミアの女神。体を2つに割かれて大地の土壌にされた女神の名前を冠する)ティアマト彗星の引き起こす災害で悲運を辿る糸守町と、そこに迫る瀧くん。
物語の設定がよく練られていて、脚本・話の展開の仕方がすごく上手い。観ていて「あぁ!!」とわかりやすく驚かされる。

前半部分はコメディ調が強かった(入れ替わりパートのテンポが良かったり、田舎の愚痴言ったり、谷花音ちゃんに「本当に自分のおっぱい好きやなぁ」なんて言わせたり。)反動で、後半のシリアス展開が効いていた。

必死で三葉を探す瀧くん、廃墟になった糸守町を突きつけられるシーンは驚愕。でも瀧くん、この瞬間まで三葉と実際に会ったのは一度だけ(総武線の代々木〜四ツ谷間)で、しかもその事を忘れちゃってるんだよね。それでもなり振り構わない鬼気迫る感は「若さ」だなぁ。

互いが互いをどこかで探しながらも、会う事ができない。宮水家の御神体がある場面。「片割れ時」のほんの一瞬会う事が出来ても、無情に落ちるマッキーペン。
静かに雪が舞うSOMPOジャパン本社ビル前の歩道橋で、微かに気配を感じながらも会えない二人。「秒速5センチメートル」でも感じたなんとも言えないもどかしい感じ。あぁ、新海監督は結末やっぱりこうなのね、、と思わせておいてのクライマックス。劇中何度鳥肌が立ったことか!!

鑑賞後、とても暖かい気持ちになれた。