梵

何者の梵のレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
3.5
好きなバンドが楽曲提供をしている為、前から気になっていた作品。先日、就活が終わったので、これを機にと思い解禁しました。

一言で表すと“人間の闇”がよく見える作品。最後の佐藤健さん演じる二宮拓人がとても人間らしくて怖かったです。

ほんの一週間ほど前まで私も就活をしていたので、会話などがとても生々しく感じました。コロナの影響で、企業の合同説明会などがなかったので、周りのライバルに直接会ったり、他にどのような人が受けているかを知る機会は無かったのでそこが今年の就活の現実とは少し違いましたが。
劇中では就活対策といって、友人の部屋で対策を練ったり情報交換をするシーンが大半なのですが、そんな事があるのか?と疑問には思いました。友達は友達でも、同じ就職活動をしていく上ではライバルになりかねない人達と対策をする現実はそこまで多くないのでは。少し前の作品なのでSNSの使い方も少々古く感じました。今時の学生なら恐らく鍵垢で呟くだろうし、ましてや本名でTwitterをやる人なんて少ないと思います。
何人かで仲良くしていて、周りの人達が内定を貰っていく中でなかなか自分だけが貰えない取り残されていく疎外感。友人が内定を貰えた事を心から祝福できない葛藤。心の声をTwitterに載せていく主人公の二宮拓人。きっとこういう人は実際に少なくないと思います。だからこそ観ているとモヤモヤするし、どこか気分が悪くなる。

菅田将暉くん演じる神谷光太郎は、よくバンドを辞めてきちんと就職しようと思ったなあ、と感心。変に下調べをしたり、対策を練らない人の方がなんだかんだで上手くいくのも現実と同じと実感しました。要領が良い人はどこにでもいるもの。

二階堂ふみさん演じる小早川理香と、岡田将生くん演じる理香の彼氏である宮本隆良の不思議な関係も、軽い気持ちで付き合う現代の若者の姿を反映しているかのようでした。(最初、隆良がタカハシだと思っていて彼女は彼氏の事を苗字で呼んでいるんだ…と中盤まで思っていました)個性を大切にする隆良と、型に囚われて窮屈な中で就活を続ける理香と周りの人達。個性を大切にしすぎていて自分の好きな事をやり続け成功しない人生を歩むのが幸せか、個性をいかす事なく自己アピールをすべき所でして、望んでいない仕事に就くのが幸せか。とても考えさせられる映画でした。現実味があるからこそモヤモヤというかどこか後味の悪い作品なのだと感じました。

LAMP IN TERRENが楽曲提供した「pellucid」最高にイカしてました!主題歌も米津さんなんて豪華〜。
梵