とびん

何者のとびんのネタバレレビュー・内容・結末

何者(2016年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

就活中の大学生とSNSをテーマにしたどろどろの人間ドラマ。

僕は好きでした。
就活が決まらないと、というか、人のことをどこか肩書きで見てしまうというか。
決まった企業のレベルを見て、安堵したいんよね。多分。
自分が内定もらってないから、誰かが内定もらった理由をその人の能力ではなく、企業のレベルが低いからということにしたい。
そうすることで、自分の焦燥と不安のバランスを調整しようとするんよね。
自分に自信がないからこそ、馬鹿にして嘲笑して、羨んでいる人を自分と同じポジションにまで落としたい気持ち、理解できる。
僕もひねくれた性格だから、主人公の気持ちは多少理解できた。
さすがに努力している人を馬鹿にはしないけど。
でも、プライドが高い人間って、どこかそういった気質がありますよねー。
そして、やりたい仕事がない、やれる仕事もない。
じゃあ自分は、どういう社会人になりたいの?
『何者』になりたいの?
という結論になるわけです。
僕もなかなか就活が決まらなかったから、未来が見えなくて怖かったなあ。
共感できるところがあって自分は好きだった。

人間の嫌な部分を抽出して表現するのが丁寧に描かれた映画だと思う。
この人危ないな、というのってどこか空気感のようなものを映画の中で察知できた。佐藤健と二階堂ふみは最初から怪しいオーラをまとっていた。

ストーリーは、なんてことない性格の悪い青年の話なんだけど、短い時間と演出で楽しめた。
最後、二階堂ふみと佐藤健はどうなったのだろうか。
二階堂ふみは就活してそうだけど。
佐藤健は結局演劇の方いかなかったのか?
面接で一分で自分を表現しろっていう自己PRに、一分じゃ語れないと言っていたが、あれは個を記号化する就活に対してのアンチテーゼではないのか?
あー、最後、会社を出ていくというのが、社会からの脱出というメタファーになっているのか?
自分は、会社の外にスーツ姿の就活生がいたからそこに溶け込む。つまり、社会人として一から頑張るという認識をしていた。
それとも、前者の意味を含めたうえで自分も社会を担った歯車として、夢の演劇の舞台に立つということか。
どのような認識もあるけど……。
俺は、後者の社会人として歩んでいくと思ったんだが、どうなんだ?
最後の解釈を、見た人、教えていただきたいです!

フォルトゥナの瞳を鑑賞したときも思ったんだけど、やはり有村架純の演技はすごい。
菅田将暉のライブを見てるときの有村架純の目が……。
本当に恋をしている乙女の目だった。
そんなことできんの?
マジですごい。
役者さんの演技も含めて好きだった。
とびん

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