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何者のfunukeのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
4.2
就職活動を通して自分が何者であるかを模索する若者たちの葛藤と屈折を描く。原作は『桐島、部活やめるってよ』の朝井リョウ。監督はポツドールを主宰する演劇界の鬼才・三浦大輔。
現代の若者の生々しい部分を描写させたら右に出る者はいない2人のタッグとあって「意地悪なリアルさ」はさすがだった。

若者は大人以上に面倒臭い。大人より自分の可能性に過信的で、自己愛と自意識が強くて、経験値がない分だけ頭でっかちで衝動的で。それでいて繊細で。
それらすべてが同時に特権でもあるのだけど、そんなクソ面倒臭い若者(大学生)がクソ面倒な就活の渦に飲み込まれ、これまたクソ面倒なSNSをシュノーケル代わりに呼吸しようと思うと、必然的にこうなるよねという。

だから映画の内容はとても普遍的。おそらく就活中の大学生が観たらメイン6人の中の誰かに必ず自分を見出す。

クライマックスに向かう場面での演劇的な演出は圧巻で、多くの舞台を観劇してきた自分にとっては鳥肌が立つ瞬間だった。監督が三浦さんだからこその魅せ方だろう。

教育上の若者を卒業したとしても、内定を貰ったとしても、何者かになれるわけではない。自分が何者であるかを考えるスタートやキッカケに過ぎない。

これは、若者が初めて自意識の外に出ようとしたときに伴う痛みを描いた映画だ。

凄まじく耳に残る中田ヤスタカ×米津玄師のエンディング曲は、主人公が自分の人生をリスタートさせるアンセムのようだった。

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