えいがのおと

何者のえいがのおとのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
4.0
素晴らしい映像化、痛々しいほどの学生のリアル

原作小説のファンだったが、キャスティングも、脚本も、演出もよく、ある種完璧な映像化だったように思う。
ただ、原作小説を十二分に理解している自分だったからこそ、楽しめたのではないかというシーンはいくつか目立った。
おそらく、そうしたシーンは、物語の進行上わからなくても構わないが、なんで?と感じるレベルではあると思うので、そうした意味では不親切かもしれない。
もちろん原作小説が、分析的な一人称語りなので、細かく状況を解説していてくれているが、映画は映像や、現実にあり得るセリフのみでしか説明ができないので、そこは仕方がないのだろう。
それぞれが役割をしっかりと果たしていて、流石に今を彩る若手俳優が集まっただけあると感じた。
中でも印象的だった人を挙げるとするなら、有村架純だろうか。
彼女は、ある意味鉄板のいい子キャラを演じているだけなのだが、そのいい子が磨きに磨かれており、純粋さが痛々しくもあり、切なくもあり美しかった。
映像化され、最も印象的だったというところでいうと、後半シーンの演劇風な演出だろう。
流石、演劇畑の人が監督しただけあるという感じ。
ツイッターは、ある種その人それぞれの観客の前の演技のようなものということ。いい解釈だったと思う。
ラストシーンは原作ではなんとも言えないところがあったので、映画の終わり方は個人的には好きだった。