花波

何者の花波のレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
3.5

彼らの就活を眺めながらずっと胃がキリキリ痛んで、「死にたいもうやめて」って思ってた。こんな映画二度と観たくない、って思ったり、でももう一度あの感覚を味わいたいって思ったり、心の中ぐちゃぐちゃになる。でも多分この映画は、そうなるのが正解なんだろう。


就活というよりも、FBとかツイッター、タンブラー、たとえばこのフィルマークスも含めてだけど、SNSを触っている人間に向けて放たれる最上級の毒が蔓延して、画面の外に居るはずの観客をじわじわと追い詰めていくホラー映画。結局お化けより何より現実が一番怖くて、その一番の恐怖を各々のやり方で和らげようとしている必死さや痛々しさをとても滑稽に映す。何が正解なのかも教えてもらえず、宙ぶらりんなままで現実に引き戻されるのもまたこの映画の良さだと思う。その答えは外から齎されるものではないもの。


苦しくて辛い気持ちばかりを味わう映画だったけど、観たらほんの少しだけ強くなれる。そんな気がする。
花波

花波