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ホームレス ニューヨークと寝た男のkuuのレビュー・感想・評価

4.0
花火+ジャズ+鼻歌+サンタクロース+HOMME LESS◎



監督:トーマス・ヴィルテンゾーン
音楽:カイル・イーストウッド
   マット・マクガイア
主演:マーク・レイ

ニューヨークの街角でカメラを構えるチャーミングな中年男性に3年間密着したドキュメンタリー映画です

マンハッタンの屋上に不法侵入して寝泊りするって…根性ありますね
違法なので社会的にはアウトですが…ある意味では究極の自由を手に入れていると思います
ペントハウスや最上階に住む人の意見で、他人が自分の上を歩くのが嫌だ、というのを何度か耳にしたことがあります
「神様か?」と思って聞いていましたが…彼はその上を行っているのではないでしょうか
現実的には夏の暑さや冬の寒さに雨雪風雷など…一時しのぎに他所へ行くとしても寝床の回復作業とか気になって仕方ありませんでした
その他ジムやカフェの使い方も賢いんだか身勝手なんだか…究極のミニマリストと呼ばれる人の中にも稀にだとは思いますが同じタイプの図々しい人がいるような気がします
この作品の被写体が魅力的なために好意的に受け取りがちですが、クライムコメディに近いものがあります

これだけルックスが良くて頭も良くて何故このような生活をしているのか疑問です
ひとつだけ彼の言った言葉にヒントがあるように思えました
「愛してると言ったことがない。」
人を愛せないのではなくて人から愛されるのをどこかで拒んでいるように思えました
あんなセンスの良いハンサムな男を拾って帰りたい人はいくらでもいるはずです😭💕
でも、彼は誰かの所有物にはなりたがらない…野良猫のような性格なのかも知れません
ゼロサム思考の人かも知れません…成功か破滅か…破壊の美学なのかも知れません

などと書き連ねてみてましたが、結局この作品に操られかけている自分がいます
マンハッタンの光と闇、華やかなファッション業界、心地よいジャズの調べ等々
世界各国から集まりチャンスを狙うモデルの卵たちが往来する街角💕
彼もかつては成功を収めたモデルでエキストラとは言え有名な映画に出演している…
そんな彼が闇を抱えてその日暮らしをしているところと夢を捨てていないところ
アンバランスで極端なのに妙に心地よさがある不思議な感覚に陥ってしまう作品でした

もし、これが企画モノだったら…満点を差し上げてもいいです👍
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