ゴダールマラソン。85年作。
“detective”というタイトルなので、「ロンググッバイ」みたいな作品を期待したら全然違った。さすがゴダール。
何を張り込んでるかわからない探偵らしき人たちは出てくるものの、どちらかというと男女の三角関係のもつれみたいなものが物語の主題っぽくなっている。が、物語なんてほぼ存在してなくて、暗喩をこめた表現で押し切る。
壊されたノワール風味のこの作品の魅力は、何と言っても映像だと思った。息を呑むようなショットの連続で美しい。そして、今までゴダールにはなかったようなクラシック音楽の使い方が映像ともシンクロする。さらに音はぶつ切りにされたり、複数の音が重ねられてたり。急に騒がしいノイズの差し込み。
ゴダールっぽい作品の中では、ノワールフレーバーの美しい映像で、自分の中では嫌いじゃない方の作品群に入った。