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さむくないかいのkkmovoftdのレビュー・感想・評価

さむくないかい(1996年製作の映画)
1.9
資料的価値。根本敬ユニバースにおける登場人物が一堂に会し、彼の著作で慣れ親しんだ人々がスクリーン上で息づく様は大変興味深い。しかし純粋に一本の映画として観るとなると、やはりキツいものがある。
筋書きとしては他の根本漫画とだいたい同じようなものだが、これが実写となるとまぁ汚らしさ3割増しくらいの印象。まさか大の大人が大便ひり出すとこをマジマジと見ることになるとは思いませんでした。

根本漫画と大きく違っている点は、漫画のキャラクターが作者によって生み出されてそのまま漫画の中に生きているのに対し、この映画ではアイデンティティ(それも強烈すぎるやつ)を持った慣れ親しんだ人々が下らない役割を演じている、というもう1段階上の入れ子構造になっていること。その点を踏まえて観なければならない点も含め、まずは根本敬の著作を読まないとワケが分からないと思う。

撮影は園子温の盟友で「ラッパー慕情」の藤原章。確かにどこかで根本敬に師事したって書いてあったような…。(漫画家の)山田花子も藤原ファンだったらしい。亀一郎をボコる通行人の兄ちゃんが無意味にブルースリーで死亡遊戯のトラックスーツなのは、きっと彼の趣味なんでしょう。

欲を言えば、根本ユニバースを体現する「でもやるんだよ!!」というフレーズのキッカケとなった「しおさいの里」の本多さんにも出演していて欲しかった。しおさいの里で撮影までしたのに彼が出ていないのは、都合が悪かったか「何か違った」んだろうか。彼は2016年に急逝されたらしい。安らかにお眠り下さい。
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