片腕マシンボーイ

断食芸人の片腕マシンボーイのレビュー・感想・評価

断食芸人(2015年製作の映画)
2.6
毎日でもカレー食べたいマシンボーイなのに…

ある日突然に商店街の一角に陣取り断食を始めた男、ただただ言葉を発することもなく座り込む男は何を目的としているのか?
彼の存在は人々の好奇心を掻き立て、やがて利用しようとする者も現れ騒動を巻き起こすが…、って話

よく言えば前衛映画、悪く言えばマスターベーション
でもな良いと思うのです、決して商業的な成功を狙った作品では無い以上は監督が気持ちいいように作ることに意義があると思うのです、それが無ければ表現でも芸術でもあり得ないですからね
そう言う意味では大成功な作品なのでしょう、まぁつまらなかったですけど!

主人公の断食男を演じるのは現代日本における孤高の名優、山本浩司
台詞はほぼ無い、ただただ黙って座りこむ男の役、しかし山本浩司の目を見てください、この虚無感!まるでマンホールの底を覗きこんでいるかのような気になってくる、ただただ暗く感情を失った目を!
周囲の人々が勝手に意志を汲み取ろうとして暴走していくのにも妙に納得いくのは山本浩司の存在感あってこそだし、この無言の中年男性こそ真にカリスマと言うべき存在なのか?とも

そのキャラクターと、それに翻弄される世間の姿は非常に興味深かっただけに、それがエンタメとして昇華されていなかったのは残念、でもエンタメ路線だったら持ち味も無くなってしまいそうな気もするし…
難しい作品ですね
そして何よりオチが…弱い、黙って黙って黙って黙って、ラストの一言だけは少しインパクトある台詞を残して欲しかった気がする、そう思ってしまう事自体が名も無き主人公に踊らされているということだろうが…

本作では主人公は50日間の断食をしますが、とりあえず僕は断食は1日も保たないし、断カレーも3日が限界、断酒も断映画も3日以上はキツイなぁ…