たつなみ

海よりもまだ深くのたつなみのネタバレレビュー・内容・結末

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

試写会にて鑑賞。

鑑賞後、元気を貰えた気がした。
『また明日からがんばろう』という気持ちにさせてくれる。

今回も相変わらずの見事な是枝演出。
全てのシーンに意味があり、全てのセリフが愛おしく、印象に残る。
一瞬たりとも観逃せず、気がついたらこの作品の世界にどっぷり浸かっていた。

今回は今までの作品と異なり、結構コメディ寄り。
とにかく良多(阿部寛)のクズ男っぷりが凄まじいが、観ているうちに段々とこの男が大好きになってくる。
母親役の樹木希林との絶妙な掛け合いはずっと観ていたかった。

樹木希林の『実在するお母さん感』はもはや神懸かり的。
阿部寛と同じ口ぐせ(『〇〇をアレする』っていう言い方)なんかを聞くと本当の親子にしか思えなくなってくる。
全然顔は似てないのに(笑)

リリー・フランキーがチョイ役で登場するが、良多に一瞬牙をむくシーンは緊張感が走った。
やっぱり流石だわ。この人。

『幸せは何かを諦めないと手にできないもの』
良多は現実と向き合う決意をしたことで、ラストで父の愛情に出会えたのだろう。

子供の頃なりたかった大人になれている人ってこの世にどれ位いるんだろうか?
たとえ今の自分が理想と違っていたとしても、必ず自分を想ってくれている人はいると信じたくなる。
誰でも誰かの役に立っているんだ、と。

3人の姿をいつまでも見送る母親の笑顔が、観客全員を見守っている様にも見えてとても印象的だった。

…あの硯、良多は絶対手放していないんだろうと思う。