KojiYamanaka

海よりもまだ深くのKojiYamanakaのレビュー・感想・評価

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)
4.0
大人になると、自分の天井にあるシミが見えるようになるといいます。自分の限界が分かってしまうという、ネガティブなニュアンスで使われるこの言葉。だけども、天井が見えない、いや、見て見ぬ振りをし続けるというのも、なかなか不幸なことかもしれません。

作中で特に印象に残ったのが、次のような言葉。

「誰かの過去になる勇気を持つのが、大人の男ってもんだよ…」主人公・良多が勤める興信所所長・山辺

「幸せってのはね・・・何かを諦めないと手に出来ないもんなのよ」主人公の母・淑子

みんながみんな、ロッキー・バルボアにはなれないんですわな。いつかいつかと夢焦がれて、そんないつかはやってこない。「あの時こうしていれば」と後悔する…。そんな人は、僕以外にもたくさんいるんじゃないでしょうか。そして、「いつか」を諦めて「あの時」と決別した時に、初めて「いま、ここ」にある幸福に触れることができるんでしょう。

果たして、良多は「いつか」を諦めて、「あの時」と決別できるのか。そのといかけはそのまま、「お前はどうなんだ?」と、自分の胸に突き刺さってきます。
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