イチロヲ

主婦の体験レポート おんなの四畳半のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
古い木造アパートに入居した夫人(宮下順子)が、他の居住者との交流を通しながら、女の幸福論を考えあぐねていく。「夫婦の営み」の在り方を提起している、日活ロマンポルノ。香山佳代が編纂した実話ルポを原作に取っている。

アパートに居住する夫婦たちの群像劇を主軸にして、父権主義からの開放が繰り広げられる。「このアパートは負け犬の集まりだ」と邪険にする夫(吉原正皓)と「ここが好きだわ」と擁護する夫人。この対比が、すべてを物語っている。

女優・男優ともにオールスターが総出演しており、丁々発止のやり取りを見せてくれる。とりわけ、殿山泰司演じる「お人好しなダメ人間像」が印象的。夫人たちが集まる大衆浴場に、暗喩を含ませた「おかめ」面を飾るというセンスも笑える。

こぢんまりとした小品だが、演者のポテンシャルが引き出されているため、一定のテンションを保つことができる。女優ばかりではなく、男優の力量にも注目すべし。
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