ピンピンピン

好きにならずにいられないのピンピンピンのネタバレレビュー・内容・結末

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

個人的に主人公が無敵でどんな困難も知恵と勇気で乗り切る!もちろん悪役はきっちり悪い目にあうぜ!!俺強い!!!という作品が好みなので、残念ながらこの映画を見て痛快な気持ちになる事はありませんでした

しかし43歳中年男性の心模様が繊細に描かれており、これを繊細と捉えるか問題と捉えるかでこの作品への評価はずいぶん変わると思います
私は問題だと捉えました
前評判を見聞きしてからの視聴だったのでショックはありませんでしたが、邦題とパッケージは本当にこの作品を見た人がつけたのか?と憤りを感じます

主人公のフーシは43歳で女性経験の無い肥満体型で頭髪が薄い中年男性
心は優しく、ミリオタ友達と軍事ゲームをしたり、ラジオ番組ではメタルミュージックをリクエストする有名人だったり、一般的な中年男性とは異なるものの自分の趣味の世界を楽しく過ごしている

ここからプチネタバレ

主人公フーシの住むマンションの階下に可愛い女の子が引っ越してきて、鍵を無くして部屋に入れない彼女を自宅に招き入れケーキでもてなしたり、彼女に誘われるがままに家に遊びに行ったり、挙句の果てにドライブに行き警察に連行され…
彼の純朴さや幼女に手を出す様な人間ではないと強調したかったのかもしれませんが、そもそもそこからして私は受け入れがたいというか、父親がガチギレするのも仕方がないと感じました
(では父親に問題が無いのか?というとあるし、かといってフーシの行動を正当化できるとも私は思いません)

同僚に虐められるフーシ
それに気付いた上司がフーシに何か問題は無いかと尋ねるもフーシは真実を話さない
次第にエスカレートしていき、何故か和解しまた別のハラスメントを受け…
いやいやいや、そこちゃんと言おうよ!
フーシ自身も同僚の為にもならんでしょ!!

初めて恋した女性が鬱病でクローゼットの中に閉じこもってしまったから毎日料理を作りに行った
クビになるかもしれないから勝手に彼女の代わりに働いた
あかんあかんあかーん!!
彼の実直で一途な様子を描きたかったのだと思いますが、単にストーカーです

鬱病から躁転した女性といい感じに…
一緒に住もうと提案され、ウキウキ気分で部屋に行ったら一緒に住めないと…
もう、フーシちょっとは怒れよ!!!

一緒に住めない女性の為に勝手に花屋の店の内装を頑張るフーシ
いやいやいや、もうつっこむ気も起きない…


全編を通してフーシが完全にズレており、そのズレそのものは何も思いませんでした
皆の好むものや恋愛などに特に興味は持っていない、それは何も問題ありません
ただ気持ちが一方通行で、自分を侮辱されて環境を変えるチャンスを自ら手放し、社会的に知っておかないと相当まずい事にも無頓着
惚れた女には意見を全く聞かないまま旅行を計画したり店の内装をしたり、最後まできちんと見た感想は
「これ自分の不運を自分から招いてますやん…」
でした
言うべき時に飲み込んでしまうのは強さでも何でもなくコミュニケーションの放棄だと私は感じました

最後にニコリと笑うフーシ

人間関係を通して新しい一歩を踏み出した彼の勇気が素晴らしいと思います