高専

好きにならずにいられないの高専のネタバレレビュー・内容・結末

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

昨日サウナセンターの休憩室で見た。いつまで経っても本戦に出られない大人の映画は今までいくつか見てきたけど、『43歳、デブ、ハゲ、童貞、母親と二人暮らし。優しすぎて上手くやってけない人間。一見変人だけどよく中身を覗けば誰よりも考えてる人間』という、このタイプは初めて見た。

ちょっと自分に重なってキツかった。僕はまだ23だけど、ちょっと精神的に心配な状況にある母親の面倒を見なきゃいけないことを理由にやりたいことを優先できてないあたり…というか、母親の面倒を見ることもやりたいことであるあたり、当然のようにやるべきことの一つであると思ってるあたりとか、めちゃくちゃ重なった。きっと一人にさせたら一人にさせただけで済む話なのに。
「一人にさせたらそれで済む話。それすらフーシはわかってるんじゃないかな。それでも大切な母を思うと、踏み出せずにいるんじゃないかな」とか、色々考えた。

最後がまた切なかった。唯一の救いはラストのちょっとフーシの口元がちょっと緩む場面。
最初から満たされてる人間の物語はあんまり好きじゃない上に、決してハッピーエンドではないけど、ちょっとだけ希望の見える終わり方をする作品に惹かれがちな僕にとってはラストまで最高の映画だった。テンポもよかったな。

しかしな、せっかく東京まで来て、プロレスラーとレスラーの家族と遊ぶ直前に見る映画ではなかったな。なんかすげえ凹んだもん。まあレスラーたちと会ったら、見事にこの映画の余韻も吹き飛んだけど。

…って、この映画見ながら色々フーシと自分を重ねたけど、プロレスラーのアテンドしたりで生活は楽しい僕はフーシじゃないな。自分のこと大切に扱ってくれない人間のことは遠慮なく切るし。全然フーシじゃないじゃん、僕。
まあでも自分と重なって辛かったのは確かだし、誠実に生きようと思わせてくれる作品だった。

あと邦題とポスターが良ければもっと日本で話題になったんじゃないかって思う。こんなにポップな映画じゃないもん。9割5分悲しかったもん。
高専

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