悪魔の毒々クチビル

ドロメ 女子篇の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ドロメ 女子篇(2016年製作の映画)
3.6
「リップの塗り方がキモいんだよ!!!」

山奥の男子校へ演劇部の男女合同合宿に来たJK達が泥の化物に襲われるお話。

ジャケットの雰囲気が「マタンゴ」とかそこら辺の昭和な雰囲気ですが、2016年と至って最近の作品です。
そしてタイトルにもある通り、今作は合宿をする男女の女子グループ側に焦点を当てた作品であり、こちらとは別にもう一本「男子篇」もあります。
これ書いている時点で「男子篇」も既に観ましたが、流れ的に観るならこっちが先の方がしっくり来るとは思います。

正直俺のフォロワーさん方は過激なホラーを求める変態が多いんで(褒め言葉です)、そんな方々にオススメはし難い出来ではありましたが、何だろね、俺は意外と好きです。
登場人物達の良い意味で素朴な感じが田舎青春ホラーらしさに拍車をかけていたり、劇中襲ってくるドロメの名前通りの土くさい見た目がこじんまりした土着性ゆるホラーな雰囲気を醸し出していて妙に印象に残っちゃう。俺が田舎出身なのもあるかもしれないけどね。

何より今時の若者に超絶ウケそうなルックスの男女を集めるのではなく、観る人の多くが「何か高校時代のクラスメイトのいたな~」って思いそうな絶妙な人選が日本のティーン映画のジャケットや予告編からすら漂う特有の胸焼け不可避のしんどい甘ったるさゼロでgood!あ、ディスってないよ。
「女子篇」の主人公が昔の友達にめっちゃ似ていてちょっと引いたくらいよ。
主人公の親友も初日にKISSのシャツ着ていたかと思えば次の日にはIRON MAIDENのシャツまで着ていて思わずニッコリ。
もしかしたらデザインだけで選んでいて、バンドのことは知らないパターンもあり得ますけど。

ストレッチ中に胸の谷間に釘付けになる男子諸君や、「誰がタイプ?」と夜な夜な話す女子諸君と程よく青春しながら部屋に落としてもすぐに復活する謎の染みが出てきたり見えない何かに引っ張られたりと、怪奇現象でホラーしていくと言うよくあるタイプの描写でじわじわ攻めて来ます。
一方で主人公ととある男子がどうも過去に何かあったようで、細かい事は「男子篇」で語られるんだろうなーっていうような向こうが気になるような流れを用意するのも忘れない。
特に主人公はこのイケメン君のせいでトラウマレベルのダメージを負い、劇中の心霊現象も相まって精神的に消耗してしまって中々に可哀想でした。先輩の手ぶっ刺したのはもうわざとだろってくらいの勢いでしたが。
まぁあのイケメン君が何で避けていたかは、「男子篇」観る前から何となくは分かったんだけど、こっちもこっちで悪気は無かったのよね。

ドロメに襲われると自らも泥まみれのゾンビっぽくなっちゃうんですが、実は対処法もしっかりあるのでそこも劇甘設定ではありますがラストのアレに繋がるんで良いじゃないですか。
後で「男子篇」の感想も書くので他に触れたい事も纏めてそっちに書きますが、うん、あんま期待していなかったってのもあったけど地味に面白かったです。