dramatica

ドロメ 女子篇のdramaticaのレビュー・感想・評価

ドロメ 女子篇(2016年製作の映画)
4.2
これは快作なのである。

予め言っておけば、これはホラーではない。ホラーと名付けるならば、必ずホラーの後に(コメディ)と付けなければならず、例えば『ショーン・オブ・ザ・デッド』と同じ棚に並べられるべきであろう。この作品をジャンル分けするなら、ブラック風味の青春コメディが最もふさわしい。

この作品において素晴らしいのは、何をおいても男女の視線の表現である。振られた男を未練がましく見つめる視線、互いに気になる関係になりだした男女の視線、カメラ越しに性的に女性を見つめる視線、等々。未だ恋愛未満段階の男女の出会い、出会い損ね、一方通行が軽やかに描かれている。ホラーの要素は作品を推進させるための味付けであり、この作品で真に見るべきは誰しも経験し、経験するだろう恋愛一歩前の淡い感情なのである。それに付随する同性同士の感情の摩擦も、内藤瑛亮一級の手際で描かれる。エンドクレジット後の交錯する男女の視線は忘れ難い名シーンだ。

映画を観た後に恋愛がしたくなる、そういう映画である。
dramatica

dramatica