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U-20のmhのレビュー・感想・評価

U-20(2007年製作の映画)
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WW1のころに起こったイギリスの客船ルシタニア号の沈没事件を取り上げたドキュメンタリードラマ。
・民間船への魚雷発射命令に背いた兵がいたこと。
・魚雷一発くらいでは沈むはずがないのに沈んだこと。
・隠密に火薬を運んでいたこと。
・舵が効かなくなったことで沈没が早まったこと。
・プロパガンダに利用されたこと。
これまでに判明していることを忠実に再現していた。
ドイツ(そのころは帝政)がやった悪行と、それをイギリスが狡猾に利用したことを余すことなく描いており、終盤は政治劇として楽しめるようになっている。
「タイタニック(1997)」以後の映画なので、沈没シーンは最新版にアップデートされている。「タイタニック」との資金力の違いはあれど、とてもリアルに再現していた。
鉄格子タイプのエレベーターにギリギリ乗れてラッキーだったが、動力が止まってしまって閉じ込められるくだりが強烈。
鍵が開くのかと思いきや、開かないままなのは斜め上。
ニューヨーク航路だったので、アメリカ人が多く死んだことによって、アメリカの世論は次第に反ドイツへと傾いていく。それはチャーチルの思惑通り。もしかして、護衛をつけなかったのはわざなのかともとれるシニカルエンド。
BBC+ディスカバリーチャンネル制作のまじめなやつなので、ちょっとでも売れればいいと何でもかんでもB級戦争ものとしてリリースする日本のDVD販売会社の姿勢には憤りすら覚える。
ドイツの避難船がソ連の潜水艦に沈められるこの映画とは真逆の事件を扱った「ガストロフ号の悲劇(1959)」とあわせてみたい。
面白かった!
mh

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