日本にもスラム(朗読競技)があって、自分は2015年から8年間スラムの司会をやっています。割と間近でスラムを見てきた人間として感想を書くと、この映画の構成に特に感銘を受けました。
映画の中でスラムのシーンが占める割合はごく僅かで、スラムに出る前の主人公を描くことに多くの時間を割いています。スラムは演劇や音楽ライブと比べるとパフォーマンスが短時間(3分〜5分の持ち時間が一般的)で、その人のこれまでの人生が短い時間に宿るようなところがあると思います。この映画の作りもまさにそれで、主人公がマイクの前に立つに至った経緯をじっくり辿った上で最後に短時間のパフォーマンスを観ることで言葉がより観る者に浸透していきます。
この映画を見てスラムに興味関心を持った方、是非日本のスラムにも足を運んでみて下さい。ドラッグディーラーをやっている出場者はまずいませんが、多様な声と言葉の魅力に出会えると思います。