群青

ダンケルクの群青のレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.5
2017年劇場鑑賞映画40作目。
IMAX4K2Dで。



わたくしはここ大阪エキスポシティへはマーベル映画とスターウォーズとシンゴジラで遠征した。

もう知ってる人も多いと思うけど、行ったことがない人に説明すると、IMAXって目に見える範囲全てがスクリーンなんですよ。普通映画って上下がある程度黒く区切ってあるんだけど、IMAXの映画だとシーンによってはそれがなくて上下一杯に画面が映る。
本来自然ドキュメンタリーなどにしか使用されていなかったIMAXを初めて劇映画に取り入れたのが今作の監督クリストファー・ノーラン。初めて盛り込んだ名作ダークナイトでは冒頭からIMAXを使用している。IMAXカメラの陰影のくっきりとした色合いで無機質なビルの黒く反射する窓にカメラが近づいていく。その様はIMAXを知らなくても、あるいは画面比が違っているのに気づかなくても、なんだかすごいものが始まったと直感する人も多いだろう。
ダークナイトが好きな人にはあの冒頭からあまりの気持ち良さでイッてしまう人もちらほら(かくいうわたしもry)


そんな監督の最新作を日本で唯一、本来の画面比で観られるのが大阪エキスポシティなんですね。
ノーラン監督のIMAXを人生初で楽しみました。(本当の初めてのダークナイトライジングは普通の劇場だった)

ここまで散々IMAXIMAXと書いたんだけど、それには訳があって、書いた甲斐があったいうほどの画面の圧倒的な圧だったんですよ。
今までこの場所でいくつもIMAXを観てきたのに、あれ?今までのやつって本当にIMAXだったっけ?と思ってしまった笑

何せのっけからマジで視界全部が画面なのだ。そこに登場人物の後ろ姿とヒラヒラと舞う降伏しろという紙。おいおい、まじかよ、おれもうノーラン監督に降伏しちゃったよって思いました笑

戦争の映画なんで当然爆発や銃声があるんだけどその音がやばい。映画をやる前にIMAXの説明みたいな映像があって、井上和彦さんらしきイケボで、IMAXの音はこんな所から、ホラここから、みたいに音声調節を披露される。その、ホラここからって言ってたまさに場所から銃声がドーン!と聞こえてくる。頭をかすめるような銃弾に思わず頭を引っ込めてしまうのだ。

迫ってくる戦闘機、どこに落ちてくるか分からない爆弾、いつ沈むとも限らない船、そして絶望。全てが渾然一体となって鑑賞者に迫ってくる。
ありとあらゆる場面が自分にダンケルクという場所にいると錯覚させられた。


はっきりと素晴らしいと言えるIMAXに比べるとストーリーは少し難解。
立場も状況も尺(これがミソ)も違う陸・海・空の人たちのストーリー。時系列の入り組んだ構成はメメントを作ったらあのノーラン監督らしい笑

難解だけれども観客がどこでどんなタイミングでエモーションを感じれるかわかっているため張り詰めた緊張感が続きつつも、テンポはいい。ちゃんと映画的にも観客の心象的にも“着地点”が用意されている。

用意されている…のだが正直な所、30万人を超える兵士を救ったという感覚はなかった。生き続けるという希望を提示しているはずなんだけど、そこまでの大人数が助かっている直接的、または象徴させるシーンが見当たらなかったから。確かに船たくさんきてたけど…うーん。


満足度でいうと3.5だけどIMAXを加味して4.0といったところ。もう何回か観たら変わるかもしれないが。
逆にいうとそれくらいIMAXにはパワーがあります。IMAXでの鑑賞がオススメ。



どうでもいいけど、嵐が来るというセリフの時、トム・ハーディが映ってたのが笑った。
同じく嵐が来るっていうセリフがあったのはトム・ハーディがヴィランのダークナイトライジングだったから笑
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