さききち

ダンケルクのさききちのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
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(2024.4.9再鑑賞 後段に追記)

2017.9.11 IMAXで鑑賞。
個人的には期待を超えられず…

ノーラン作品は
『インセプション』や『インターステラー』のように、多層的で哲学性を含んだ語り口が好き。

史実であるダンケルクの戦いを
革新的構成や深い心理・思考表現で観せてくれるかと期待しすぎた…

確かに"基本構成"(ネタバレになるので詳細は避けます)は面白いし、
・あるシーンの密閉空間で貫通する銃弾の存在感、銃弾が通り抜ける音響
・終始糸が切れそうな張り詰めた緊張状態を表すハンスジマーの劇伴
・極力CGを排除した撮影(特に機体からの主観視点の空撮についてはIMAXスクリーンでの没入感が凄まじい)
などなど、素晴らしい点は沢山ある。

…が、楽しみにしていた世界感ではなかったかなぁ。
『インソムニア』や『プレステージ』を初めて観た時の気持ちに近いかも…
『インセプション』や『インターステラー』的な重層性を期待するのが野暮なのだろうか…

そして、これは完全に好みの問題なんだけれど、流れに身を任せるような"主体性のない"人物にあまり魅力を感じないんだ、映画としては。

【2024.4.9再鑑賞】
2024年26本目
『オッペンハイマー』2度目の鑑賞後、再度。
初見だとあまり好みでなかったようだが、改めて観てみると、圧倒される。

◆時間
時間軸に微妙に差異のある3つの視点が進行し、それらが重なり合っていく様は、流石時間の魔術師ノーラン。再度の鑑賞でも新鮮な感銘を受けた。

◆撮影
超引きのロングショットの多用が印象的。IMAXを逆手に取った『オッペンハイマー』のクロースアップショットの多さとは対照的。地平線。その奥の奥にまで見える艦隊や人影など、作り込みと撮影が素晴らしい。
海や太陽、火や水の美しさと残酷さいずれもが精巧に映し出されている。
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