Shinta3

ダンケルクのShinta3のレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.0
死が当たり前の世界では、悲しみは擦り切れ、死に対する恐怖心は薄れ、絶望すら感じないのか。
帰趨本能だけが脳を支配しあらゆる方法で戦場からの脱出を試み続ける。何度挫かれても落胆の声さえ上げない。出口の見えない悪夢の中では一切の感情は無駄なものに見える。ドイツ兵も淡々と攻撃を仕掛け、受ける側も逃げ惑う事もせず機械的にこなす。追い込まれた人間達の極限状態が随所に描かれ戦争を経験していないにも拘らずそこにリアリティを感じてしまう。

また戦争映画にありがちな、敵兵を鬼畜の様に描き正義と悪の構図を匂わせる演出が無い。戦争に突入した時点でどちら側にも善悪を語る資格はないと言うことに思いが至る。

一般市民の勇気にも心動かされたが、戦争という大きなうねりに飲み込まれ疲弊していく兵士の様がとにかく胸に突き刺さった。
Shinta3

Shinta3