三樹夫

クライムハンタ- 怒りの銃弾の三樹夫のレビュー・感想・評価

3.1
Vシネの第一作目で世良公則が主演。今ではVシネは極道もののイメージだが、第一弾であるこの作品はガンアクションものになっている。
話はリトルトーキョーの刑事世良公則が協会の寄付金500万ドルを強奪した又野誠治を捕まえ護送している時に、覆面の男たちに襲われ部下の竹内力が殺されてしまう。又野誠治を追う世良公則だが、そこに協会のシスター田中美奈子が現れるというもの。

リトルトーキョーが舞台だがアメリカ感は清々しいくらい皆無で、ロケは沖縄でしているが、観ていてこれロケ場所は沖縄か横須賀らへんかと思うような、そんなリトルトーキョーが舞台となっている。
冒頭いきなり「本日は署長の結婚記念日なので派手な捜査で問題を起こさないように」と警察無線が流れて、半端じゃないダサさで物語がスタートする。洋画意識のウィットに富んだ会話をやりたいのだろうが、こんなクソダサ警察無線なんて洋画で全く聞いたことがないがどこでこんなの覚えてきたのだろう。とにかくダサさは全編に渡って漂っており、登場人物の名前もジョウだのブルースだのダッ、ダセェ。竹内力にいたっては役名アヒルだし。主人公がイカついアメ車乗ってたり、愛用銃がデトニクス・コンバットマスターとレミントンM31ショットガンのシスターなど、これでもかとカッコつけてくる。ノリや雰囲気、ダサさや洋画意識の台詞だけどワードセンスがあまりないというので後発の作品だと『BLACK LAGOON』がこれに近いか。

ストーリーとかはもはや注力してないというか、ガンアクションをやるための段取りみたいになっているが、この作品のメインとなるガンアクションは排莢や装填などディテールを細かくし、アクションの結果として弾痕がつく、ドアに穴が開く、爆発する、出血するというのでアクションの快感を高めている。ただ銃声がショボいだったり銃の構え方が拳銃のプロに見えなかったりなど、従来の日本のガンアクションを高めようとしてはいるが、従来の日本のガンアクションのダメなところも出ている。
ペキンパーや香港ノワールで始まって、徐々にランボーになるという中学生感満載の作品になっており、世良公則が田中美奈子を殴ろうとしたりなどマッチョ主義はプンプン。誰がどう見てもこの作品のターゲットは男性となっている。60分以内でスパッと終わり、定期的にガンアクションが挿入される脳に疲れが残らない清々しい中学生アクション作品であり、又野誠治の松田優作完コピ演技も見どころになっている。
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