三樹夫

クライムハンター2 裏切りの銃弾の三樹夫のレビュー・感想・評価

3.0
行方不明になった潜入捜査官を探すというストーリーで、実存的葛藤とかあるけど、美女が出てきて相棒が殺されてと基本的には1と一緒になっている。ただネオン増し効果か前作よりかはアメリカ感が出ており、出ている外国人の数も増えた。

世良公則と又野誠治の向かい合っての撃ち合いが『その男、凶暴につき』っぽかった。『その男、凶暴につき』公開後から3か月後にこのビデオが出ているので普通なら参考にするのは無理だが、ただ東映の制作体制ならあり得そうなんだよなぁ。『男たちの挽歌II』ともとれるが、『男たちの挽歌II』も日本公開から4か月後にこの作品なので普通なら参考にするのは無理だが、ただ東映ならやりかねんと思ってしまう。

このシリーズは完全に足し算方式で作られている。反対の引き算により作られているのはたけし映画とかあるが、例えばたけし映画の演技演出だと、ヤクザ役の役者にポケットに手を入れるヤクザ演技はさせない。こういう記号的な演技は分かりやすいが、同時に泥臭くてはっきり言ってダサいので引き算演出だと省かれ映画がクールな印象を持ち、90年代だとクールネスが時代には合っていた。ただしクールネスな邦画はあまりなくて、なので90年代の邦画不調は泥臭くてダサいイメージを邦画が持っていて邦画というだけで敬遠されたことが一因のようにも思う。
ただ足し算演出だからすなわちダメというわけでもなくて、足し算によりとんでもない数値を叩き出せればそれはそれで面白いし、足し算が変な方向に行けばキッチュな作品としてまた別の見方で楽しめはする。
このシリーズは足し算で、例えば車内で世良公則がタバコを吸うカットでは必ず頭を後ろに反らせており完全にダサい。洋画によくある面白黒人的な相棒があてがわれるが、ずっとスベっている。主人公のねぐらがクルーザーで『特捜刑事マイアミ・バイス』と、相変わらず洋画を意識し自分たちも同じようなことをしようとしているが、微妙に外していてカッコいいよりダサいが勝つ。なので足し算によりとんでもない数値を叩き出すというよりかは、足し算が変な方向に行ってキッチュな感じの方に行っているように思う。麗子バズーカは唐突だったので爆笑した。『DEAD OR ALIVE 犯罪者』の最後のヤクザ玉を思い出した。
ガンアクションのディテールを細かくしたり、何分かおきにガンアクション入れるなどサービス精神はあるし見所もあるが、このシリーズが不利なのはどうしても低予算が響いているように思う。『男たちの挽歌II』みたいな吹き飛んだドアが爆風を遮ってくれるみたいな完全にイカれた、足し算的にはもの凄い数値を叩き出すことができない。ゲストスターで出てくるのがエリック・ダグラスというマイケル・ダグラスの異母兄弟というのも貧乏くさくてズッコケるし、しかもマジでエリック・ダグラスをスター扱いしていてズッコケる。麗子バズーカで何だかんだ面白かったなと思ったら、あっコイツいたわと作品の勢い的にもトーンダウンして終わるし。マイケル・ダグラスの異母兄弟だからスターっていうのは無理があるだろと。2000年ちょいぐらいは久本雅美が何本もテレビに出ていて、これが関西ローカルになると途端に妹の久本朋子になっていたが、なんかそれを思い出した(当時メッセンジャーが漫才でよくネタにしていた)。ちなみに久本朋子は『週刊えみぃSHOW』など、上沼恵美子の番組でよく見た。
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