雪洞

ハロルドが笑う その日までの雪洞のレビュー・感想・評価

3.6
(あらすじ的な何か)
ハロルドは高級家具店を営む男。なかなかな店構えの家具店を経営していた。
ある日、ハロルドの人生を窮地に立たせる出来事が起こる。

家具、雑貨の量販店「IKEA」の到来だった。

IKEAの到来と共に、ハロルドには人生のドン底が到来する。
自分の経営する家具店は閉店、売りに出され、妻は認知症が悪化、そんな妻を老人ホームに入れようとしたところ、妻は倒れ、そのまま還らぬ人となった。

ハロルドはすべての原因である、IKEAの創業者カンプラードに強い憎しみを覚えるのだった。







(感想)
ともかく運の悪いハロルド。
初めは全てを失ったことで自棄になり、店と共に焼身自殺しようとするが、スプリンクラーによって火を消されてしまう。
そもそも撒いたのはガソリンではなく、家具の艶出し液だというのも運の悪さか。

一大決心の自殺すら失敗したことで、それもカンプラードのせいな気がして、ついにカンプラードの誘拐に向かう。

北欧の雪景色に静かな、シンシンとした中で、物語は割と淡々と進んでいく。
派手な音楽が流れる訳でも派手な誘拐劇があるわけでもないけれど、冬景色と物語のテンポがマッチしているようでよかった。

あれもこれも、全てうまくいかない怒りをカンプラードという人物にぶつければ何かが変わるんじゃないだろうか、というハロルド。

始まりから終わりまで、本当に派手さはない映画なのだけれど、どこにぶつければいいかわからない怒りや悲しみ、そういった感情がとても身近で想像しやすいからか、なんだか人間らしく、親近感があるなと思った。
よくわからないけど、ハロルドの気持ちがなんだかわかる。

ハロルドはカンプラードを誘拐したことで、特に何が解決したわけでもないけれど、カンプラードや家出娘も同じように悩んだり、ひょっとしたことで笑ったり、家族への愛や孤独を感じているということを知り、小さなことで大笑いできることを思い出したのかなと思う。

大笑いできるコメディっていうわけではないけれど、くすりと笑いたい時、ぼーっとしながら人生見つめたい時に見たい映画!

IKEAがこの映画を作ることに抵抗がなかったのがすごいのと、カンプラードを演じている人が本物そっくりなのがまたすごい!
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