宮本

映画 聲の形の宮本のレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.9
今更のレビューですが、
山田尚子監督の今年の新作を見る前に改めて今作鑑賞して、初見並みに感激。
日常の風景でもアニメーションならではの可能性を全て表現ができて、京アニの圧倒的な才能を見せてくれます。公開当時かなり話題になってたのも納得。

いじめというテーマをあらゆる視点から語って、被害客と加害者、かつどちらにも白黒をつけず、もっというなら全員は加害者でありながら被害者にもなる、学校と社会の対応への問題定義、そして誰にも通づる青春物語のような設定、観ている全員が共感せざるを得ないキャラクターたちと脚本。とにかくいじめの本質が垣間見える今作は1秒でも涙頂戴シーンに力を借りず、アニメーションの凄まじいクオリティーとキレキレの演出とカット割、そして音楽の絶対的な存在感がほぼ完璧な映画にさせます。

カット割と見せ方はとにかく大好きです。時に庵野秀明のような早い、かつ意味深なカットの連続、キャラクターの精神、感情は全て絵で見せてくれるし、気づいたら山田尚子の世界観に没入してしまう。声が聞こえないという設定も、西宮が実際の障害であり、主人公のヤショーは精神的な不安の表現になるという演出も素晴らしい。
「あの花」で感じた面白さは100倍にして映画になった感じです。
中にも音楽は素晴らしくて、ずっと絵を支えてる役割、かつ絵と同じくその場の心情を表してくれる。
いうまでもないが、絵がトップレベルで、細かい動きにすら感動してしまう。
宮本

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