てんびん

映画 聲の形のてんびんのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
4.5
この作品が嫌いだって言う人がそれなりにいるのは分かる。
「あまりにも簡単に梢子が将也を許している」「イジメた人間に好意を抱くのは不自然」「不快なキャラがいる」「不快な描写がある」「ご都合主義」「感動ポルノ」etc...
デリケートなテーマなので否定的な意見が多くなるのも理解できるし、その理由も納得できる。
それでも僕はこの作品が好きです。この作品のテーマは「未熟さの許容と克服」だと思っているから。
この作品に出てくる登場キャラは未熟で明確な欠点を持っている。小学生時代の残酷なイジメ。責任逃れと自己正当化。
そのときに顕著に現れた欠点は高校生になっても変わっていない。そしてそれぞれのキャラがそのことを自覚している。橋の上で将也に指摘されたときにそれが分かる。
「自分の欠点が分かっているのなら直せばいいのでは?」そう簡単に直るのなら苦労しない。僕も自分の欠点を数えたら両手じゃ足らないし、直したいと思っているけど直る気配がない。
性格なんてそうそう変わるものじゃない。終盤になっても謝罪を繰り返す梢子に、植野が「ま、それがアンタか・・・。ばーか」と言うシーンがある。
ここにテーマが集約されていると思う。自分と他者に欠点があることを認め、自分の欠点は克服し、他者の欠点は許そうという姿勢。完全には出来なくても、そうしたいと思う。

他にも色々思うことはあるけどこの辺で終わりにします。
この作品は心を傷つける内容だけど、見て良かった。
てんびん

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