sicklychic

ウィッチのsicklychicのネタバレレビュー・内容・結末

ウィッチ(2015年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

Queen’s Gambitで惚れてしまった
アニャ・テイラー=ジョイ
フィルムデビュー作。

1630年代、
イギリスから新天地を求め
アメリカにやってきた
ピューリタン一家が、
信仰のズレから街を出ることを決意、
深い森にほど近い場所に移住し、
魔女の影に崩壊してゆく様を描いた
サイコサスペンス。

IMDbのネタバレを見たり、
多少のバックグラウンドリサーチをして
今レビューを書いています。

まずピューリタンから。
彼らの信仰は聖書が元になるようなので、「7つの大罪」は当てはまらないよう。
(7つの大罪は聖書に出てこないらしい)
劇中ケイレブによって言及される、
「アダムから受け継がれる罪」を元に、
「モーセの十戒」の方が
禁忌とされるようです(不確か)。
ざっと調べると、
確かに十戒の方がしっくりきます。

ウサギが魔女のスパイだとか、
魔女が使徒たちに餌を分け与えるとか、
洗礼前の男の赤ちゃんの脂を
空を飛ぶために塗るとか、
そんなこと知りませんでした。

ウサギの目が怖かった。
ブラック・フィリップと同じ目。

BGMに使われるチャントも
ものすごく効果的。
葉が落ちた後の森もしっかり怖い。

登場人物は、
どうやら父親以外、
全員悪魔と契約したようです。
確か悪魔って銀に弱かった気がするので、
銀のカップを売ってしまったこと
(この行為自体に十戒の何項目かが含まれている)で、魔除を無くしてしまったのかも?と思いました。

アニャ・テイラー=ジョイの演技、
自然で難しい役もセリフも
サラッとこなしてすごい。
髪と唇にいつも見惚れてしまうんだけど、
声が本当に好き。

衣装もすごくフカフカ。
ボタンもかわいいし
ケイレブがお父さんと森に入ったときの
セーターなんか
絶対肌触り良さそうでした。

ケイレブの会った魔女が
本当に妖艶だったけど、
手元のシワがリアル。魔女怖い。

魔女1人かと思いきや、のエンディング。
15-16世期、カトリックでは
バターは嘘をついたり不浄でいることよりも重い罪だったそうです。
バター。。おいしいもんね。。

魔女になって笑顔になったこと、
あんな目に遭えばそりゃそうよ、
と思ってしまいました。

信じるべき家族に尽く裏切られて
たった1人残されてしまったトマシン、
きっと魔女たちに受け入れられて
居場所ができたのでしょう。
悪魔だって天使なら、
見方によって何が善で何が悪かなんて
決められないです。

時々観る、「信仰」を元にした映画。
現代にも連綿と受け継がれる、
信心深くない人間にとっては
矛盾が疑問にも思える思考に
大きく切り込んだ、
パンキッシュな映画なんでは
ないでしょうか。
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