うみぼうず

ウィッチのうみぼうずのレビュー・感想・評価

ウィッチ(2015年製作の映画)
3.5
森は恵も多いが、人を飲み込む怖さもある。目が蠢くような兎、苛立たせるような双子の振る舞い、魔女のささくれだった手、吐き出されたリンゴ、ケイレブの恍惚とした表情…。不穏さ不気味さがかなり直接的な表現をされている。

信ずる者は救われると言うが、結局自分の責任にせず全てを神(もしくは悪魔)のせいにしている父親が元凶であり、甲斐性無しとはまさにこの事だなと。唯一の取り柄の信仰心も、神は救ってくれないし家族に食物をくれる訳でもない。結局父親の、ある種の傲慢さが招いた結果である。傲慢というと七つの大罪を思わせるが、狙っていそうではある。ケイレブはかなり直接的だったし。

アニャ・テイラー=ジョイはとても神秘的。ロバート・エガース監督の作り出す光と影の世界に、彼女の表情が映える。『ライトハウス』『ノースマン』では洗練されている映像美の原点が垣間見える。

どの場面切り取っても安心できなくて怖いなと思うし、この監督の本領発揮というところ。しかし双子はどうなったのか…。個人的には、双子は悪魔と契約していたのかも?とも思う。黒山羊と話せたこと、生死不明なこと、そして悪意とも取れる純粋さ純朴さ…。実はラストで上げてから落とされた…という展開もあるかも?と。
うみぼうず

うみぼうず