けーはち

ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊vsPLA特殊部隊のけーはちのレビュー・感想・評価

3.3
超絶技巧で人質越しに麻薬密売人を射殺した凄腕の狙撃手(ウー・ジン)は、命令違反で懲戒され、その後、《戦狼》なる精鋭部隊にスカウトされる。さっそく演習で実力を発揮する彼の前に、弟を殺された麻薬王の指図により、凄腕の傭兵(スコット・アドキンス)が登場。演習は実戦と化す!──中国産の戦争アクション映画。

中国の同胞を害する欧米の腐った金の亡者を許すな、という真面目な国枠映画だが、悪役の「私怨・私利私欲のため傭兵と麻薬組織がせいぜい合わせて数十人で人民解放軍演習地に潜り奇襲をかける」という行動がアホすぎるのも味わい。

規制で軍事行動をリアルに描けないようで一部MCUもかくやというSFチックな装備(空間投影ディスプレイ等)が登場、軍の情報将校がハッキング合戦を繰り広げたり等はスパイ映画の見過ぎかというべき既視感と無茶苦茶な展開ぶりである。

しかし、95式自動歩槍(小銃)等の実戦装備・兵器がマジマジのマジで、適度にカンフーアクション要素を混ぜた戦闘シーンは迫力に息を呑む。

ウー・ジン vs スコット・アドキンスのジャングルでの追撃戦、ワイヤートラップ・地雷・小銃・拳銃・ナイフ格闘、と個人の持ち得る戦術全てを駆使しての一騎打ちはハイクオリティだし、「たとえ技術や内容で負けていても、不屈の精神で戦い続け、相手の慢心を突いていつかは勝つ」という中国映画の立ち位置をメタ的に表すような帰結が美しく、割と満足度は高い。