アマプラ配信 手塚治虫の実験的短編集シーズン1のラスト。
これは心にきた。
ラストにふさわしい、切なく悲しいお話。
人魚と出会い恋した青年。一緒に住もう!と、実家に人魚を連れて帰る。しかし実は人魚はただの小さい魚で、彼の目にだけ人魚に見えていた。
青年の住む国では、空想が禁じられていて、矯正のため彼は様々に矯正訓練を受けることになる。
訓練という名の拷問。
夢見ることはいけないことか。空想を働かせることはいけないことか。
誰にも迷惑かけてないのに。
誰かの思想と違えば、捕まってしまうのか。
NHKショートアニメのようなシンプルな線画に、少ない色彩。
痛めつけられ追い詰められて、人魚の姿を次第に忘れてしまう青年。忘れたくない!青年がとった行動と、ラスト。
言論と思想の自由が許されることの尊さ。
自分が今生きているこの地と時代は、そうでなかった時に生きていた人々の思いと犠牲の上に成り立つもので。
この作品のメッセージはスッと受け入れられた。見たことを大事にしたい作品だ。
そしてやはり私は「人魚」というテーマに問答無用で惹かれるみたい。