爆裂BOX

海棲獣の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

海棲獣(1998年製作の映画)
3.8
カリブ海に浮かぶ静かな島で住民が次々惨殺される。警察はサメの仕業と疑うが、サメの研究にうちこむ海洋学者のチェイスはそれに疑問を呈し…というストーリー。
「ジョーズ」の原作者であるピーター・ベンチリー原作のモンスターパニックです。3時間近い収録時間ですが、元はTV映画で前後編で放送されたようですね。そのため途中で一回エンディングとオープニング迎えます。過去に勝手にD.N.A.シリーズとして、「D.N.A.Ⅲ」のタイトルで2時間に編集されてビデオリリースされています。今は原作と同じ「海棲獣」のタイトルで完全版がDVDリリースされています。原作は未読です。
3時間近いだけにちょっと冗長に感じる所もありますが、丁寧に語られる主人公一家と島民たちのドラマは中々楽しいですし、次々と犠牲者を出す犯人の正体を探っていくうちに普通のサメではないことが明らかになっていくサスペンスフルな展開も次第に見入ってきます。助手のノッポやこの事件の真相に関わりある狼男、頑固だけど責任感ある警察署長等、魅力的なキャラがいるのも良いですね。島に来た主人公の息子と署長の娘との恋愛模様も良かったな。
本作に登場するのは大戦中に米軍がサメとイルカともひとつ遺伝子をかけ合わせて戦闘兵器として開発されたサメ人間、そのデザインはスタン・ウィンストンが手掛けただけあってカギ爪の生えた手足を持つ筋肉質でヌルヌルとした造形は妙にカッコよくて非常に秀逸ですね。最初は手の生えた全身シワシワのサメから、脱皮して歩けるように進化していく所もモンスター好きの心をくすぐってくれるギミックですね。目でその知性を表現する所も好きです。CGではなくしっかりした着ぐるみとアニマトロニクスで表現されている所もグッときますね。全身像しっかり映してくれるのもいい。ドラマ重視の為、サメ人間の出番は多くないですが(特に前半)、のっそのっそと歩きながら暴れまわる見せ場はインパクトあって楽しいです。特殊部隊を次々襲っていく所はもっとじっくり見たかったな。
最後の研究所での戦いも中々ハラハラさせてくれますし、伏線活かした倒し方も良かった。
長尺ではありますが、海洋モンスターもの好きならかなり楽しめる作品じゃないでしょうか。