フジタジュンコ

海棲獣のフジタジュンコのレビュー・感想・評価

海棲獣(1998年製作の映画)
4.0
「サメ映画は20年に一度しか名作が生まれない」説に信憑性をもたせる作品です。

クリーチャーデザインがあのスタン・ウィンストン、これだけでもうワクワクが止まらないのですが、期待を裏切らずにモンスターであるところのサメの造形がとにかく素晴らしい。CGなど使わず、ただただ着ぐるみとアニマトロニクスで”異形”の生々しさを表現しているのは見事としか言いようがありません。進化の過程や皮膚の質感や目の動きなども「怖さ」の根源をついてくるのでゾワゾワします。
サメ人間と化したモンスターがのっそのっそと歩くさまを見ると、「えっ?サメ男」のサメちゃんや、「ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結」のナナウエ(キング・シャーク)は、これを下敷きにしているのでは、という気すらしました(前者は本当にただの気のせいか…)。
蛇足ですが、ちっちゃいサメのホルマリン漬けがかわいかったです。ほしい。

ストーリーとしては、ベトナム戦争中に生物兵器としてサメとイルカ(+α)を交配させたものの、案の定そのモンスターは研究所を抜け出し、そして25年後、カリブの島に現れ住民たちを虐殺する…!というところから展開するわけですが、『ジョーズ』のピーター・ベンチリー原作だけあってしっかり面白いです。ブードゥー教文化の島国の住民とそこに現れた異物であるところの白人研究者の対立という設定や、海に囲まれた南国のロケーションも良い。キャラクターに嫌なやつがいないのでストレスなく楽しめます。原作を読みたくなりました。