風来坊

任侠野郎の風来坊のレビュー・感想・評価

任侠野郎(2016年製作の映画)
3.5
慕っていた親分の仇を討つため、たった一人で敵対の組に乗り込み敵の組長の命を獲った伝説の極道と呼ばれる柴田源治は長い服役生活を終え、世話になった姐さんの葬式に出向くがそれがきっかけで田舎町の温泉施設を巡る利権争いの渦に巻き込まれていく…。蛭子能収主演の硬派な任侠アクション。

蛭子さんに極道は似合わないという声がありますが、そもそも「カッコいい蛭子さんを撮ろう」という企画コンセプトで製作側もギャップを狙っての事なので、そこにケチをつけたら始まらないと思います(笑)
ストーリーは堅気になった男が再び極道の抗争に身を置くという任侠物の定番ですが、そこに意外性のキャスティングで新鮮さが出ていて狙いがハマった感じです。蛭子さんが好きな競艇ネタもあって面白い。

蛭子さんはやっぱり蛭子さんなんですが…「うぇーい」とか叫び声にはちょっとゲンナリしちゃいますが…目が据わった演技はなかなか迫力がありました。いつもじゃないですが所々はカッコいい。実際は動きがもっさりしているのをスローモーションの殺陣で誤魔化してはいたものの、逆に迫力が出ていたし吹き替え無しでよく頑張っていたなと思います。演技全体はやっぱり残念…。

意外性を狙ったキャスティングは蛭子さんだけでなく、女組長の役でトリンドル玲奈さんが出演しています。演技は…うーん…ですがこちらも新鮮な感じで良かった。肌が白いので着物がよく似合っていました。その他、個性豊かなキャスティングで源治若い頃を演じた千鳥の大悟さんのぎらついた感じは良い。佐藤二郎さんはこういう変態チックな役は安定感抜群。あと冒頭の微動だにしない猫がスゲエ(゜ロ゜)

槁本マナミさんがお色気担当で出演しているが、彼女よりも元NGT48の北原里英さんの方が色気がありました。更におバカな女の子を好演していて、「なになに~」で退場は最後までおバカで演技と演出が見事でした。物語が進むに連れ蛭子さん達に違和感は無くなって来ましたが、中尾明慶さんがどうも空回りしている印象で最後まで違和感…。

源治が何年服役していたのか知らないが、他があまり変わっていないのに源治だけ若い頃と変わりすぎはツッコンじゃいけないのかな(笑)
ストーリーは大した事ないけど任侠物の古臭さ人間臭さと仁義のツボを抑えていて悪くないです。エンドロール後に補足がありますが、それは本編でやらなくてはいけないのでは?エンドロール観ない人も居るので…。

スゴく酷評されている本作ですがギャップの狙いは良かったし、時間も短いしサクッっと観れて良いし、三味線の音色が流れるなかのクライマックスのかちこみシーンは迫力がありました。キワモノですが企画ものとして個人的には楽しめました。
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