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ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘いのERIのレビュー・感想・評価

4.0
まるで今のプーチンの横暴を予見していたかのような2015年のウクライナの情勢をNetflixはドキュメンタリー作品として作っているのだから、その映像化の力をまざまざと見せつけられるし、7年間にウクライナがこんな状態だったことを何も知らずに過ごしていた自分がとても恥ずかしい。

国民は逆行する自国の政治にNOを突きつけていたし、そこで鎮圧され流される多くの血。EU加盟の瀬戸際で手のひらを返されたような大統領の判断は、国民の怒りを買い当然反対運動が起きたけれど警察は暴力的なやり方で国民を押さえつける。


すごい光景だ。国民は一致団結し、首都キエフには100万人の行進が行われる2013年。これだけの人が広場に集まり、親露派だったヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政権(第4代大統領)の交代を望む。人々は自由を望んでいる。

ヨーロッパの仲間には入りたい。自由と人間の尊厳があるその世界に。



2013年12月11日。人間の尊厳のために国民が手をとって自分たちの手で国を変えていけると戦う姿に涙が止まらない。決して疲弊などしていない、彼らは人間として生きていくことに躍動感さえあって、当然彼らから暴力的なことをすることなどなく平和的に人間としての尊厳を主張する。感情を抑え安全に戦うために、酒なども飲まず活動する。

2013年12月31日のキエフの独立広場の光景はエネルギーに満ち、とても綺麗。


その後、政府は集会でのヘルメット着用禁止、5台以上の車の駐車禁止、インターネットでのアクセス禁止という悪法が制定された。ベルクト(ウクライナ内務省管轄の民警)らは同じ国民にも関わらず銃や棒などでボコボコにし、2014年2月18日から23日5日間のウクライナ騒乱では多くの死者が出た。結果ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領は失脚し、ロシアに亡命した。2月24日の国民の笑顔は忘れられない。


こんなに勇気のある国民が、今度は戦争に巻き込まれている。この世に戦争はいらないんだよ。
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