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ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘いのtomoのレビュー・感想・評価

4.2
年と共に涙腺が緩くなってきたが、特にドキュメンタリー系、多くの人が信念を持って頑張った話に弱い。泣きながら見た。
東西の狭間、緩衝地帯として常に歴史に翻弄されてきたウクライナで、2004年オレンジ革命の記憶も冷めやらぬ2014年に起きたマイダン革命の記録。またの名を「尊厳の革命」。
デモ参加者が要望していたEUへの接近の是非に対しては、門外漢としては安易に意見することができないが、デモの題目は「国民への公約を果たせ」という至極当然の要求であり、また明らかに平和的な活動だった。にも関わらず、警察の特殊部隊が問答無用で暴力的に排除するという民主主義の観点からは考えられない対応。しかも2014年という時代柄、多くのマスコミのカメラやデモ参加者の携帯電話で撮影されている目の前で、躊躇いなく国民を武器で攻撃したのである。10年前のウクライナはとても民主的な国家とは言えなかったのだ。
政府の対応により却って運動は熱く燃え上がり、多くの犠牲者(「行方不明者」を含むのだ、2014年に起きた街中の事件で!)を出す大きな事件となり、大統領の亡命という革命を成し遂げる。
視聴中泣けて泣けてしょうがなかったのは、このわずか8年後に起きる事態を知っているからだ。今の時代に、大きな犠牲を払い達成された革命を振り返り、「尊厳の革命」という言葉に触れることが、全く無関係の人間にとってもこんなにも苦しい。平和の尊さは言うまでもないが、それと同じくらい、もしかしたらそれ以上に尊いものを守るために、今この瞬間も戦っているウクライナの全ての人たちに、どうか祝福を。
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