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ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘いのWILDatHEARTのレビュー・感想・評価

3.0
『マイダン革命・ウクライナ戦争を仕掛けた戦争屋おばさん』


驚くべきことだが、シカゴ大学の国際政治学者ジョン・ミアシャイマーによるとオバマ(当時の米大統領)とバイデン(当時の米副大統領)はウクライナの反露派陣営に6500億円以上もの資金を注ぎ込み、ロシアとNATOとのバランスを取った外交を進めていたヤヌコーヴィチ政権を破壊する工作を実行していたという。
アメリカによるその破壊工作活動の結実が、この映画で描かれている2014年2月のキエフでの反ヤヌコーヴィチ・政権転覆クーデター(「マイダン革命」と呼ぶらしい)である。

さてアメリカ製のレジームチェンジ(政権転覆)は国務省とCIAが当事国のレイシスト右翼集団(ウクライナにおいては「右派セクター」や「アゾフ連隊」)を利用する方法が常套手段であるが、その実行部は所謂ネオコンである。中でも、当時(オバマ政権)の国務次官補であったビクトリア・ヌーランド(現バイデン政権では国務副長官代理に昇格)は戦争ビジネスのど真ん中に鎮座する猛烈な戦争屋ババアであり、ユーゴスラビア解体を皮切りに世界中に憎悪の種を植え付け紛争を巻き起こす悪魔の如き鬼女なのだが、イーロン・マスクも指摘する通り彼女こそがマイダン革命を裏で指揮した張本人だったのである。(ヌーランドは駐ウクライナ米大使に電話で「次期ウクライナ首相はヤツェニュクにせよ」と指示し、米大使がEUからの反発への懸念を伝えるや「FUCK the EU‼︎」と吐き捨てたのだが、その通話音声記録がリークされ今もYou Tubeに残っている。)まったくとんでもない話である。

その後のウクライナ戦争についての「先に手を出したロシアが悪い」という世論に対しては、ミンスク合意をどのように捉えるのかを検証することで疑義を呈したい。
2015年のミンスク2合意とは、その後のロシア・ウクライナ戦争の準備の時間稼ぎの為にロシアを欺(あざむ)く真っ赤な嘘であったことを、当時立会人として同席していたメルケル元独首相とオランド元仏大統領が最近になって共に相次いで暴露してしまった(日本では全く伝えられていないようだが)。つまり、ウクライナ軍によって1万4千人ものロシア系住民が虐殺されたドンバス地域の自治権(=保護)を認めるふりをしてプーチンを騙し、ペンタゴンとCIAが主体となってアメリカ製の軍隊をウクライナ内に構築しロシアに対する攻撃能力を予め備えさせることがミンスク合意の本質的な目的だった訳である。
プーチンの意向に関わらず、もとよりアメリカはロシアを何としても戦争へと引き摺り込む策謀を周到に仕掛けており、ドイツ・フランスまでもがこれに加担していたのである。


断っておくが、僕は決してプーチンを支持している訳ではない。アメリカは卑怯で汚いし、ロシアも野蛮でむごい。
上で縷々(るる)述べたことは、要は大国同士は覇権を握る為にはどんな酷いことでもやってのけるというお話である(本当はもっと複雑なのだけれど)。


ウクライナ戦争が我々に暗示するものとは何か。


ウクライナ戦争とは、実質的には米露の覇権闘争であり現在のウクライナは二つの勢力の衝突の場として利用されている言わば「戦場国家」である。
ウクライナは欧州随一の政治的に腐敗した国であり、そうであるが故にアメリカによって政権を乗っ盗られ(マイダン革命)、以来今に至るもロシアとの代理戦争を戦わせられている。NATO事務総長も認める通りこの戦争の起点は2014年である。ロシアの侵攻によって始まったものではない。

アメリカに盲従しロシアと反目し合うことで誰を利することになるか。
中国である。
中露が結託して日本を敵と見做(みな)すとき、果たしてアメリカは日本を守ってくれるだろうか。残念ながらそれは無い。アメリカの「核の傘」など嘘っぱちであることは最早誰の眼にも明らかだろう。
日本が大国間の覇権闘争の場として利用され忽(たちま)ち属国に成り下がるという最悪の世界線が有り得ることを、現在のウクライナは暗に我々に示唆しているのである。
中露の分断は地政学的に日本の安全保障上必要であり、その為にもロシアを懐柔し利用すべきではないのだろうか。

ウクライナ戦争は対岸の火事ではない。
ウクライナで流されたあまりに多くの血に報いる為にもこの戦争を他山の石とすべきであろう。
「ウクライナは可哀想で、ロシアは許せない」という思考停止から脱却するために、本作「ウィンター・オン・ファイヤー」は背後に存在するアメリカの謀略を踏まえつつ今一度冷静に観てみる必要がある。
そのアメリカから我々が復興支援という名の戦後処理を押し付けられるのも全くおかしいが、その前に一刻も早い停戦を提唱することが日本の役割であろう。



↓過激な内容のため閲覧注意でお願いします。ウクライナのレイシスト達によりロシア系住民が虐殺された「オデッサの悲劇(2014年5月2日)」

https://youtu.be/1EZay_KOxJE?si=ZSZfQdlknkCRH1CG
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