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もしお許し願えれば女について話しましょうのFilmomoのレビュー・感想・評価

4.0
①エットレ・スコーラ監督の監督デビュー作。これ以前はジャクリーヌ・ササール主演でアントニオ・ピエトランジェリ監督の結婚システムを皮肉った秀作『三月生れ』やディノ・リージ監督の『追い越し野郎』などの脚本を書いていた。私にとってスコーラといえば80年代前半に見た『マカロニ』と『ル・バル』と『パッション・ダモーレ』。その後に観た『スプレンドール』も面白切なかった。名作と言われる『あんなに愛しあったのに』は観る機会がなくてまだ観ていない。学生時代ちょっとしたお気に入りの監督だった。②デビュー作とはいえ、8話のオムニバスを全て1人の俳優に狂言回し役を演じさせ、相手役に様々な美人女優を配置するというキャスティングがすでに効いている。その主演男優がヴィットリオ・ガスマンで、『嘆きのテレーズ』や『にがい米』の雰囲気と違っていろんなタイプの役を演じ分けているのが凄い。若い観客であれば言われなければ同じ俳優と気づかない可能性があるとまで思う。相手役の女優ではやはり『激しい季節』のエレオノラ・ロッシ=ドラゴと『キッスは殺しのサイン』や『ヘラクレス』のシルヴァ・コシナがずば抜けていい。先にも述べたが結局はキャスティングの勝利だと思う。コシナの男を焦らしに焦らす小娘役なんて完璧だと思う。③所詮男性2人が書いたシナリオだから女性に対する観点には少々疑問符をつける話もある。第一話なんかまさにそうで、亭主の留守中に訪ねてきた「ライフルを持った男』に対して、自分の体を差し出して亭主に危害が与えられないようにするというのは無理がある。これは「女性とはこういうものである」という主張なら如何なものかと思うけれど、その他のエピソードなども通して見直すと、男と女のおかしな関係を面白おかしく描いているだけだと分かる。第二話は男と女の関係ではなく、外では賑やかでおしゃべり好きで能天気で陽気な男が、家に帰ると・・・という話で「一体どういう風に話を持っていくのか?」とついつい引き込まれてしまった。ほとんどのエピソードには皮肉なオチがつく。これを発展させるとピエトロ・ジェルミ監督の『イタリア式離婚狂想曲』のような作品(離婚を禁じるカトリック教国で女房を殺して死に別れするため、亭主が妻を不倫に陥れて殺そうとする。オチが秀逸)になると思う。イタリア式エスプリというか、女優も綺麗でなかなかの満足度。
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