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ルクソーJr.のmaverickのレビュー・感想・評価

ルクソーJr.(1986年製作の映画)
4.0
1986年にピクサー・アニメーション・スタジオが製作した2分の短編CG映画作品。アカデミー短編アニメ賞にノミネートされ、ベルリン国際映画祭では短編部門の銀熊賞を受賞した。ジョン・ラセターがピクサー・アニメーション・スタジオで初めて監督を務めた作品。


ピクサーのオープニングロゴに登場する、あの有名な電気スタンド。『トイ・ストーリー』から約10年も前に主人公になっていたとは知らなかった。1986年のCG作品ということで、鑑賞の際の多少の古臭さは覚悟していた。だがそんなことはなく、質感は驚くほどリアルだった。当時これを見た人たちは驚愕したことだろう。電気スタンドが愛らしくなめらかに動く様は感動的である。ジョン・ラセターの才能の高さはすでに証明されていたわけだ。

電気スタンドの質感の表現だけでなく、子供の無邪気さとそれを見守る親の愛情を感じさせる温かみのある作品性である。母親の心配をよそにはしゃぎまわる子供には笑ってしまうし、お母さんの大変さには同情してしまう。電気スタンドの動きだけでそれを表現しているのだから凄い。

ピクサーだけでなく、CGアニメーションの原点という点において本作は貴重だ。ジョン・ラセターの意志を継ぎ、今もピクサーは良質な作品を生み出し続ける。ピクサーの神髄がここにあった。2分の本編だが、何時間でも語り尽くせそうだ。
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