ふっくー

鬼談百景のふっくーのレビュー・感想・評価

鬼談百景(2015年製作の映画)
3.5
「残穢」原作者・小野不由美が手がけた99話からなる怪談集。
100話目にあたる「残穢」へと続く恐怖の中から選りすぐりの10話をJホラーを代表する鬼才たちが映像化!!!


「追い越し」
午前3時にドライブをしていたら、暗闇の道をポツリと歩く1人の女。その女を追い越したその時。。。

これは普通に最後車と並んでスライドしてたシーンで笑いました。途中まではすごいいい感じ。

監督は「残穢」そして呪いのビデオシリーズでおなじみ「お分りいただけただろうか」のナレーションを務める中村義洋





「影男」
家の外から影の様な真っ黒な男がひたすら窓を叩いてくるお話。

影男が外から窓を叩く音がとにかくうるさくて不快。そして全体的に不気味さがあってモヤモヤな終わり方も良いね。

「尾けてくる」
公園で傘も差さずに立ち尽くす男。その男と目が合ってしまったが、実はその男は。。。。

これ個人的に結構怖い話でしたね。話は地味なんだけど、人が死ぬ直前の虚無の顔といった無表情がたまらなく不気味でした。

監督は「バイロケーション」「呪怨黒い少女」などを手がけた安里麻里




「一緒に見ていた」
学校で自殺した教員。死体を警察が調べに来るまでそこで待っていた男性教員だったが。。

これもなかなか不気味ですね。自殺した後に何度か現れる女は幽霊のはずなのに、女子高生が普通にぶつかって謝るというシーンがあるのだけど、そこが何気ないことだけど1番不気味。

「赤い女」
転校生を歓迎するために家でパーティをしていた時に怖い怪談話を話した転校生。その話を聞いたものは話に出てきた赤い女に憑きまとわれるというのだが。。。。。

これも個人的に評価の高いお話でした。転校生を歓迎しているパーティもどこかカオスだし、仲良くなりたいのか、なりたくないのか思考が謎すぎる転校生。そして全速力で転げ回った後に全速力で画面に向かってくる赤い女。最高でした。

監督は「へんげ」の大畑創




「空きチャンネル」
ラジオのチャンネルを合わせていた時、空きのチャンネルから女性と思しき声が。その声についつい聴き入ってしまい。。。

「どこの子」
夜遅くまで仕事をしていた教員が、学校内でトイレの花子さんみたいな格好の女の子に出会い追いかけた先で見たものとは。。。

この2作品は「呪いのビデオシリーズ」(今はもう携わってない)でお馴染みの岩澤監督!!!!
「心霊玉手匣」で見たことある様な演出がちらほらで、学内で「チース!」といってすれ違った女子高生が玉手匣で大活躍していたモロちゃんだったのはもはやファンサービスなんですかね。

他の作品に比べてこの岩澤作品は異色で1番SFチックだったけど、同じ学校がベースで「空きチャンネル」は生徒目線で起きた怖い話、「どこの子」は教員目線で起きた怖い話として描かれている手法は「ほんとにあった呪いのビデオ55」でやってたクロスオーバーみたいでした。
彼にはもっと良い作品をこれからも期待してます笑笑。



「続きをしよう」
子供達がお墓でふざけて走り回っていると、1人の子が怪我をして帰ってしまう。その後もまた1人、また1人と怪我をして帰る子供達。どこからか聞こえる「続きをしよう」という言葉に導かれた様に人数が減っても遊び続ける。そして最後に残った子供が見たものとは。。。。。

これは皆さんがレビューでも書かれている通り最高でしたね。この10話の中で間違いなくダントツで怖いでしょう。最初はお墓で遊ぶなんて不謹慎極まりないという気持ちで見ていたけど、だんだんと不気味さが増して、最終的に来るアレには背筋がゾワっとしました。良い感じにピントボケしてるのが尚更不気味でした。

「どろぼう」
子沢山の母親のお腹がまた大きくなっていた「おめでたですか?」そう尋ねると「ちょっと太っただけですよ」と。。。数日後そのお腹は全く大きくなく痩せていた。。。。。

これは想像を掻き立てる不気味さと水の流れの気持ち悪さで怖がらせてくる恐怖が良かったです。

監督は「パズル」の内藤瑛亮



「密閉」
別れた彼氏の荷物がいつまでも自分の部屋に置きっ放しになっているので、早く取りに来て欲しいと頼む元カノ。その荷物の中には元彼が拾ってきた大きなスーツケースもあった。。そして元彼がその荷物を取りに来たのだが。。。。

これは前半はクローゼットが勝手に開く不気味さが描かれていたのに、後半になって怒涛の展開になったのはもはやご愛嬌なのかな。
幽霊の怖さもあるし、人間の闇の部分もあって全体的に面白かった。

監督は次世代のJホラーを引っ張っていってほしい「ノロイ」「怖すぎ!シリーズ」「貞子vs伽倻子」の白石晃士!!!!!!


全ての話が残穢ほど作り込まれてはいないものの、短編作品としてはどれも不気味で、怖さ、気持ち悪さ、不快さがそれぞれの監督によって違うので面白い。


「赤い女」と「続きをしよう」は短編だからこその怖さがあって最高だったので、これだけみるだけでも価値はあるので、ぜひ!!!
ふっくー

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