うにたべたい

10 クローバーフィールド・レーンのうにたべたいのレビュー・感想・評価

4.0
クローバーフィールドシリーズ2作目。
タイトルこそクローバーフィールドとついていますが、巨大な怪物が襲いかかってきたNYの市民をPOV形式で追った前作とは、全く違った作品となっています。
本作は、クレイジーな親父「ハワード」に監禁された女性「ミッシェル」が、厳重に鍵のかかった地下シェルターで奇妙な生活を始めるという密室サスペンス映画で、クローバーフィールドのアクションSFを期待して映画館に足を運んだ人々はこの裏切りをどう感じたのか、巨大なモンスターが小太りの親父のなってしまったこの悲しみをどこにぶつけるといいのか。

主人公のミッシェルは恋人と喧嘩し、家を出て車で走行中に事故に遭い、気を失ってしまいます。
目を覚ますと点滴が打たれており、脚がパイプに繋がれて殺風景な部屋で倒れていた。
部屋にハワードと名乗る男が現れ、「外は何者かによる攻撃を受けていて、有害物質で汚染されている。ここは自分が作った地下シェルターで、外に出ると即死んでしまう」と述べる。
にわかに信じることができないミッシェルは、脱出の機会を伺うが、という展開です。

サスペンス映画として、非常に面白かったです。
ハワードはキレやすく、ルールに厳格です。
友好的でおちゃめと感じるところもあり、貴重な水や食料を無償で提供するため、根っから悪人という訳では無いようですが、秘密を隠していると思われるようなところがあります。
クローズドな場所に閉じ込められ、サイコな親父に行動が制限され、管理されているという焦燥感が感じられ、引き込まれるものがありました。
舞台の8割りはシェルター内での出来事で、登場人物もハワードとミッシェル、もう1人同様にシェルターに同居する「エミット」の、ほぼ3人のみとなります。
制作費は前作よりさらに少ない1500万ドルで、これだけ魅力あるできになっており、アイデアに優れた名作だと思います。

ただ、前作とはあまりにもかけ離れた内容のため、面白いのですが内容に賛否がありそうです。
結局、前作との繋がりもあるのやら無いのやら分からないまま終わっています。
地下シェルターの出来事で終わりではなく、巨大なモンスターも一応登場するのですが、ラスト15分くらいで超展開となり、取ってつけたような感じを受けました。
ハワードについても結局謎を残したままになっていて、クローバーフィールドを期待した方から批判をされても仕方ない内容でした。

ただ、有害物質のせいで外に出られない状況が、新型コロナで半分引きこもりになっている今の状況とダブルところがあり、今見ると臨場感を感じていいのかもしれないと思いました。